Pto6(ぴーとろっく)

Pto6(ぴーとろっく)

どうもPto6(ぴーとろっく)です。

今回はSTUTSの1stアルバム【Pushin'】について書きたいと思います。2年前に発売されて以来、折に触れては聴き返している大好きな作品です。

MPCプレイヤー兼トラックメイカーのSTUTSが作り上げた本作は、拘りの音質流れるようなアルバム構成が際立つ、完成度の高い名盤となっています。

それでは、本作を聴いて感じたことを書いていきたいと思います。

【Pushin' by STUTS】
stuts Pushin' 

<収録曲>
01. Introduction -Pushin’-
02. Renaissance Beat
03. Furious feat. Campanella & KID FRESINO
04. Shadow feat. JJJ, KID FRESINO & DJ Scratch Nice
05. Treasure Box
06. Called Game feat. K.Lee & 呂布カルマ
07. Pushin’
08. Special Day feat. CHIYORI
09. Poolside
10. Sail Away feat. Alfred Beach Sandal
11. Cosmic Journey
12. 5th Dimensional Trip
13. 夜を使いはたして feat. PUNPEE
14. Rock The Bells feat. KMC


本当に素晴らしい作品と出会えたとき、なかなか「素晴らしい」に続く言葉が出てこないということがあります。「凄い」「最高」「完璧」。それら率直な言葉たちはいくらでも出てくるのに、それを発するに至らしめる感情のロジックが、うまく言語化できないのです。

そんなとき、私は何度でも作品を繰り返し聴くようにしています。自分の感情をぴたりと言い当ててくれる言葉が自然と降りてくるまで、とにかくその音楽を浴び続けるのです。(それはなにもこのブログを書くために、というわけではありません。単に私が抱えるやっかいな性分として、まずは言葉にしてみないことには、何事も自分の中で腑に落ちてくれないのです。)

このアルバムについても、その素晴らしさを言葉にするのには、とても時間を要してしまいました。しかし先日、ついに私は自分の感情を言い表す言葉を見つけることができたのです。アルバムを聴いていた仕事の帰り道、ふいに言葉が降りてきました。

“このアルバムには私が好きなHIPHOPの全てが入っている”

長い月日を要したわりには、なんとも率直でシンプルな感想でしょうか。しかし私にとっては、これ以上に自分の感情を言い当てる言葉はありません。

Qティップ、ピートロック、プレミア、Jディラなど、自身も好きだと語られていたそれら往年の名プロデューサ達にも通ずる、グルーヴ感漲るサンプリングビート。Nujabesをも彷彿とさせてくれる、情景の浮かぶ幽玄なるInstrumental

ヒリヒリとしたマイクリレーに、ドラマチックに歌い上げられるバラード感性を刺激される洗練された楽曲から、心揺さぶられるソウルフルな楽曲まで。

とにかく、私が愛してやまないHIPHOPミュージックの全てが、このアルバムには宝石のように詰め込まれ、輝きを放っています。

あなたはどんなHIPHOP作品が好きですか?もしそう問われたならば、私はまずこのアルバムを相手に手渡すのではないでしょうか。そしてもし、同様に好きだと言ってくれる人であったならば、他の好きな作品についてもとことん語り明かしたいなと思ってしまいます。

【夜を使いはたして feat. PUNPEE】


得てして本作は、収録曲【夜を使いはたして】が取りざたされて語られます。しかし、この曲はSTUTSがつくりだした最高のコース料理における最高のデザートのひとつにすぎません。

ファットなドラムが食欲を満たし、軽妙なるシンセ隠し味のサンプリングが深みある味わいと栄養をもたらす。1曲にじっくり時間をかけて作るというSTUTSのビートは、アルバムを通して、そのような確かな食べ応えと滋味滋養を兼ね備えています。

とにかくアルバムとしての構成が素晴らしく、1枚を聴き通すことが幸福以外のなにものでもありません。インスト曲とラップ曲のバランスが絶妙で、聴いていて一切の飽きがきません。お互いがお互いを引き立て合うことで、どちらも新鮮な気持ちで堪能することができるのです。

特にインスト曲においては、本当に甲乙がつけがたいほど、私はどの楽曲も気に入ってしまいました。これだけ豪華でバラエティに富んだラップ曲が揃っているにも関わらず、それに勝るとも劣らない聴き応えを具えた、良質なインスト曲ばかりが収録されています。

通常はラップ曲の“繋ぎ”としてアルバムに挿入されることも多いインスト曲ですが、本作ではトラックメイカーの作品というに相応しく、インスト曲がしっかりとアルバムの主役を張っています。

ラップ曲においては、タイプの異なる豪華な客演陣を取り揃え、ハードな曲からメロウな曲まで、STUTSの音楽性の幅広さ、適応力の柔軟さを見せてくれています。本作以外におけるトラック提供曲を聴いてもわかるとおり、STUTSは誰と組んでも最高の楽曲を作れそうですよね。

【Furious feat. Campanella & KID FRESINO】


【Sail Away feat. Alfred Beach Sandal】


STUTSのトラックは、サンプリング生演奏による音を、適宜組み合わせて作っています。更には楽曲によって、打ち込みパッド演奏を使い分けることで、グルーヴを見事にコントロールしています。

ちなみにパッド演奏を録音して作られた楽曲はインスト曲のうち4曲(【Introduction -Pushin’-】【Renaissance Beat】【Pushin'】【Poolside】)です。それらを意識してその他ビートと聴き比べてみると、躍動感の違いをありありと感じられるかと思います。

【Renaissance Beat / Pushin'】


こんなにも1曲1曲がしっかりと粒立っていて、それでいてアルバムとしても完全にコーディネートされている。アーティスト・キャリアにおいて、こんなにも素晴らしい作品が1枚でも作れたならば、私であればそれだけで満足してしまいそうです。

それでもきっと、STUTSはまだまだ歩みを止めないのでしょう。その証拠に、この作品を出した後も彼は、精力的にライブ活動/作品制作をしています。更なる高みを目指して、彼は今後も良質な作品を世の中に生み出していってくれることでしょう。

私はこれからも彼の作品を楽しみにしていきたいと思います。興味をもたれた方は是非ともチェックしてみてください。

それでは、今回はこのへんで。



関連記事
最終更新日2018-06-11
Posted by

Comments 2

There are no comments yet.
環状線  

ありがとう、いつもいい記事を、どうも

2018/07/03 (Tue) 19:11 | EDIT | REPLY |   
Pto6(ぴーとろっく)  
Re: タイトルなし

> ありがとう、いつもいい記事を、どうも

コメントありがとうございます。
そのような暖かいお言葉をいただき、書いてきたことが報われるような思いがしました。
だんだんと書ける時間が限られてきてしまいましたが、これからもできる限りブログを続けていければと思っています。
今後とも、ぜひともよろしくお願いいたします。
力をいただきました。本当にありがとうございました^^

2018/07/08 (Sun) 16:48 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply

ブログパーツ