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珍しく海外クラシック②(The Chronic by Dr.Dre)

こんばんわ。Pto6(ぴーとろっく)です。

週末からクラシック作品巡礼にすっかりハマってしまいました。てなことで、今回も海外クラシック作品をご紹介します。

【The Chronic by Dr.Dre】
dre

<収録曲>
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1. The Chronic (Intro)
2. Wit Dre Day (And Everybody's Celebratin')
3. Let Me Ride
4. The Day the Niggaz Took Over
5. Nuthin' But a "G" Thang
6. Deeez Nuuuts
7. Lil' Ghetto Boy
8. A Nigga Witta Gun
9. Rat-Tat-Tat-Tat
10. The $20 Sack Pyramid
11. Lyrical Gangbang
12. High Powered
13. The Doctor's Office
14. Stranded on Death Row
15. The Roach [The Chronic Outro]
16. Bitches Ain't Shit
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このアルバムも言わずと知れた名盤中の名盤です。生みの親は完璧主義者と名高い、HIPHOP界一の成功者<Dr.Dre>です。私も愛用しているヘッドフォン「Beats」も彼のプロデュース作品で大ヒットしましたね。(現在は会社ごとApple社に3100億円で売却されたようですが。)

前回ご紹介した<NAS>の【Illmatic】が東海岸の90年代代表作なら、この<Dr.Dre>の【The Chronic】は西海岸の代表作と言えます。

関連記事【illmatic by NAS】はこちら

ただし、このアルバムは【Illmatic】の2年前に発売された作品で、ヒップホップ専門雑誌「The Source」で先に最高評価「5本マイク」を獲得しています。実は<NAS>の【Illmatic】は、この【The Chroni】により一気に勢いが生まれた「西海岸HIPHOP」に対抗すべく、「東海岸」のプロデューサーの精鋭が集まって作ったアルバムだったのです。ブログでの紹介が時系列と逆になってややこしくしてすみません。

しかし、このようにアメリカにおけるHIPHOPの歴史は「西海岸」と「東海岸」の競い合いの歴史なのです。なんだか面白いですよね。ちなみに、この【The Chronic】が出る前の80年代の西海岸ヒップホップは、東海岸ヒップホップに比べて「10年遅れている」と言われていたみたいです。まさに抜きつ抜かれつだったのですね。

さて、もう少し作品についてご紹介をしましょう。

人気ユニットN.W.A.(エヌ・ダブリュー・エー)を他メンバーの金銭トラブルで脱退したDr.Dreは、「Death Law(デス・ロウ)レコード」という「ギャングスタ・ラップ作品」を取り扱うレーベルを立ち上げます。そしてDr.Dre自身の初のソロアルバム【The Chronic】をリリースするのです。

この作品の成功要因として忘れてはいけないのが、個性的な声を持つ相棒<Snoop Doggy Dogg(スヌープ・ドギー・ドッグ)>の存在です。トラックメーカー・プロデューサーとしては天才的な才能を持つDr.Dreですが、正直言ってラップの方は意外と「普通」です。それはおそらくDre自身も自覚していたのでしょう。その当時ほとんど無名だが、才気あふれるフロー巧者<Snoop Doggy Dogg(スヌープ・ドギー・ドッグ)>を大抜擢するのです。

関連記事【Doggystyle by Snoop Dogg】はこちら

さて、サウンドについても書いていきましょう。

このアルバムにより「西海岸」の、そして「その後のアメリカ」のスタンダードとなるHIPHOPサウンドが「Gファンク」と言われるサウンドです。所謂「ギャングスタ・ラップサウンド」ですね。今もアメリカチャートを賑わすHIPHOPサウンドはほとんどがこの「Gファンクサウンド」が元になっていると思います。

後にDr.Dreがプロデュースする<2Pack>や<Eminem>なども「Gファンクサウンド」が基となっています。Eminemから米HIPHOPに触れた私にとっても、アメリカHIPHOPといえばこのサウンドの印象が強いです。この「Gファンクサウンド」はその後の歴史を大きく変えたHIPHOP界の革命といわれています。ちなみにGファンクの「G」ですが、スヌープドック曰く「ゲットー」のGだそうです。てっきりギャングだと思ってましたが。

このGファンクサウンドの特徴としては、70年代に流行していたファンクミュージック「P Funk」等のネタをベースに、ベースラインと高音シンセの旋律が印象的に響いているという点があります。「どこか怪しそうな夜の街」のイメージとよく言われていますね。このようなサウンドが生まれたのにはロサンゼルスを代表する「西海岸」の地域性が強く表れていると言われています。というのもニューヨークが代表する「東海岸」とくらべ、「西海岸」は車社会。音楽は圧倒的にカーステレオで聴かれています。その為、Dr.Dreは「車で気持よく響くサウンド」を志向してこのサウンドを作り出しました。

そして、このサウンドは郊外に住む白人にも受け入れられ、もともと国土が広く、車での移動が大半をしめるアメリカ全土へも、広く浸透していくことになるのです。東海岸の代表作NASの【Illmatic】と比べても、【Illmatic】はサンプリングで少し籠った音であるのに対し、【The Chronic】は隙間を活かしたリヴァーブが効いた音になっており、「生演奏音」も多用されています。まさに車で大音量で聴きたくなるサウンドですね。

【Nuthin' But A G Thang (Instrumental)】


またアルバムの構成としては、現在Eminem等のアルバムでも定番の“会話調のskit”などが曲間に挟まる形をとっていまして、アルバム単位としての作品づくりの意志を強く感じられる構成になっています。

私の感想としては、「トラックだけでは成立しないトラック≒ラップが乗ってこそ完成するトラック」だなという印象を持ちました。極端にいうと、トラック単体としての完成度、芸術性は私は「東海岸」の方が高いと思いました。ただ、それは裏返せば、それだけ“ラップの良さを最大限活かすことができるトラック”ということです。どちらが良い悪いではないということですね。

しかし、やはりどちらかと言えば私は「東海岸サウンド」が好きです。実はこのアルバムが発売されて以来、「派手な西」、「地味な東」と揶揄されていた「東海岸HIPHOP」ですが、しばらくすると「ブリブリのギャングスタ・サウンドは、確かに派手だが、そればかりだと飽きてしまう。」と、「味のあるスルメサウンドで、地味ながらも飽きのこない東海岸の渋いネタ使い」に興味が向くようになるコアなファンの傾向もあったそうです。私もそうみたいですね。

さて、長くなってしまいましたが、この【The Chronic】も間違いなく聴いておくべきHIPHOPクラシック作品です。私もこれから何度も聴いていこうと思います。

皆さんも、是非久しぶりに聴いてみてください。

その時は“beatsヘッドフォン”で聴くことをオススメします。さすがDr.Dreの作ったヘッドフォンだけあって、これで聴く「Gファンクサウンド」は本当に心地いいですよ!ビートの、特にバスドラムの音の輪郭の響きが他のヘッドフォンとは一線を画すと思います。是非お試しを!

では、今回はこのへんで。

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