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動画を投下㉒(クロノグラフ/アイリスライト by SKY-HI)

どうもPto6(ぴーとろっく)です。

今回は、ここ最近繰り返し聴いていた楽曲について書きたいと思います。先月末にMVが公開され、5月11日に発売予定のSKY-HIの新曲【クロノグラフ】と、その前作【アイリスライト】です。

【クロノグラフ】


SKY-HIのバラードは、いつも私に“凪いだ水面”を想起させてくれます。日常の中で次々に投げ込まれる疲れやストレスといった小石。それらが心の中に立てる波紋が、いつの間にか増幅し大きな波となった時、私は無意識の内にSKY-HIの楽曲に手を伸ばしているような気がします。彼の唄を聴くと、なんだかすっと心の波が静まっていくように感じるのです。

来月発売するSKY-HIの新曲【クロノグラフ】も、そのような特徴に違わず、心に平穏と穏やかさをもたらしてくれる暖かい楽曲になっています。“別れを愛する歌”と本人が紹介していたこの曲は、別れの季節である春の空気感にも後押しされ、様々な人の心にすっと染みこみ、多くの感動をもたらしているのではないかと思います。

ストップウォッチ機能を持つ時計を指す言葉“クロノグラフ”というタイトルの通り、リリックには “時の流れ”に関する描写が多く見られます。以前、“世界中どこでも同じ価値を持つ時間と、それを司る時計”へのリスペクトを口にしていたSKY-HIが、真摯な思いを込めて書き上げた楽曲なのだろうと想像します。

ストップウォッチをいくら止めたところで、時計の針は進み続けるように、時の流れを止めることは誰にもできません。そして、例えその時計の針を止め、巻き戻してみたとしても、時間は流れ、決して過去には戻らないのです。だからこそ、“今”を少しでも良くしよう。その為に、一つでも多く笑ってみせよう。そして、それがきっと“いつか”の未来につながっていく。私はこの楽曲を聴いて、そんなメッセージを感じることができました。

そして、圧倒的な世界観と幾重にも張り巡らせた伏線を見せてくれたアルバム【カタルシス】以来、SKY-HIの楽曲は、表面上だけではない隠された意味についても、ついつい探しながら聴いてしまいます。今回はテーマが時計ということもあり、楽曲中に出てくる数字(何“十”回、“ろく”でもない、何度も出てくる“一”という数字など)には、ついつい過敏に反応してしまいました。また、MVで何度も映される花や、カタカナのタイトルにすらも、何かの伏線や、ダブルミーニングが隠されているのではないかと、必要以上に勘ぐってしまいます。冒頭のリリックひとつとっても、聴く人によって様々な解釈が生まれてきそうですね。

そんな風にリスナーの想像力を掻き立て、深く楽曲を楽しむように仕向ける空気感を押し付けがましくなく作り上げたのも、SKY-HIのこれまでの良質な作品達が成し遂げたひとつの功績ではないかと思っています。そして、そのようなややこしい深読みを抜きにしても、純粋に音楽として楽しむことができる強度を、楽曲がしっかりと持ち合わせているのも、幅広いリスナーへの配慮を感じさせてくれますね。

そして、そんな【クロノグラフ】を聴いたキッカケで、ここ最近、改めて前作【アイリスライト】も聴き返していました。この楽曲も本当に何度も聴き返してしまう名曲です。

【アイリスライト】


「僕」が、大切な「君」に向かって優しく語りかけるという形式がとられた楽曲です。聴く人は自然と「僕」に自身を重ね合わせ、自分の「大切な人」を思い浮かべてしまうと思います。この楽曲については、Amebreakのインタビューや、SKY-HIのブログ等で、本人の口から何度も解説されています。この楽曲が担うアルバムを通しての立ち位置も然ることながら、タイトルやリリック、MVに込められた深いメッセージを知ると、この楽曲の世界観を更に広げて聴くことができると思います。

「世界が5原色で構成されてるのに、白人、黒人、黄色人種、流す血の赤だけで、青色=藍色(アイリス)はないですよね。だから、人間は“アイ”っていうピースが最初から欠けてる存在とも言えると思うんです。だからこそ“アイ”を探すのかなって」

また、そのような大きなテーマやメッセージを内包させながらも、楽曲を通して終始「一人対一人」という最小単位の世界観を崩さずに、意図的にそれを強調した構成でこの曲はつくられています。そして、そのことにより、楽曲を聴く上で誰しもを投影でき得る「僕」に、「SKY-HI」本人をはめ込んだ時、楽曲に込められた別のメッセージが浮かび上がってくるのです。

「僕」である「SKY-HI」にとっての大切な「君」は、彼が日頃から口にしている通り、自分の曲を聴いてくれている「ファン」です。MVで画面越しにこちら側を真っ直ぐに見つめて唄うSKY-HIを見ながらリリックを聴いていると、私は「この曲は自分に向けて唄われている」ということを強く感じることができました。

“君がただ「幸せ」っていう一秒が作れたら
それだけでいつも僕は僕になれる
その泣き顔が笑顔に変わるのなら
それだけできっと僕の生きる意味だ”


「自分の楽曲を聴いてくれるファン達が、自分にとっては一番大切な存在です」そんな言葉は、SKY-HI以外のアーティストの口からもこれまでたくさん聞いてきましたし、そのようなメッセージを含んだ楽曲も何度も聴いてきたような気がします。しかし、この楽曲ようにそのメッセージを素直に受け取れたことは、これまでの私には無い経験でした。では、なぜこの楽曲がそのようなメッセージを歪み無く、聴く人に届ける力を持っているのか。それは前述した「一人対一人」を強調したこの楽曲の構成の力に拠るものだと私は思っています。

この楽曲で、徹底的に強調されている「一人対一人」という構成、それは例え「僕」に「SKY-HI」をはめ込んだ場合でも、やはりその強靭な構成が崩れることはないのです。だからこそリスナーは、これまで体験したことのある「アーティスト一人対ファン大勢」という形ではなく、「SKY-HI対自分」という、あくまでも「一人対一人」としての未体験の形で、彼からの想いの込められた言葉を、真っ直ぐに受け取ることができるのだと思います。そして、SKY-HIは、心から一人一人を大切に思っているというメッセージを、偽りの無い形でファン一人一人に伝える為に、徹底的にこの楽曲の構成に拘り、世界観を作り上げたのではないかと、私は思います。

そして、きっとそれすらも、この楽曲に込められた想いの単なるひとつに過ぎないのでしょう。これからも、この楽曲を聴き続けることで、更なるメッセージを見つけることができるのかもしれません。これからも、何度でも聴き続けていきたいと思っています。

クロノグラフ

4月に入り喉の手術を受ける為、現在一時活動を控えているSKY-HI。手術は無事終わり、経過も順調なようで、5月からは活動を再開し、全国のライブハウスツアーを行うようです。昨年度末に「国民的存在になる」ことを高らかに宣言していた今の彼には、一切の迷いは見えません。きっと、そのようなことを敢えて宣言したのも、決して自惚れやエゴイズムなどではなく、自分を信じてくれている「大切な人=ファン」を思ってのことなのでしょう。大切な人が、自分のファンであることをもっと誇りに思ってもらえるように、彼は挑戦し続けることを今一度誓ってみせたのだと思います。

彼がこれからどこまで世界を切り拓いてくれるのか、私は楽しみで仕方ありません。私も彼のファンの「一人」として、これからも末永く応援していきたいと思っています。

では、今回はこのへんで。





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2 Comments

だっちゃん  

お願いしまっす!

SKY-HIのTyrant Islandもお願いします(^人^)

2016/04/26 (Tue) 21:28 | EDIT | REPLY |   

Pto6  

Re: お願いしまっす!

> SKY-HIのTyrant Islandもお願いします(^人^)

コメントありがとうございます。機会があれば書かせてもらうかもしれません^^
ただ、SKY-HIの楽曲は奥深いので、彼の作品について書くのはなんだか覚悟が必要なんですよね^^;
私なんかより聴きこんで楽曲のことを深く理解しているファンはたくさんいるでしょうから。

もし特別に書きたいことが見つかったら、その際は書かせてもらいたいと思います。
リクエストして下さり、ありがとうございました。

2016/04/27 (Wed) 22:24 | EDIT | REPLY |   

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