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新作音源に小さく貢献⑫(風光る by LIBRO)

どうもPto6(ぴーとろっく)です。

今回は、数日前に発売されたLibroの2ndアルバム【風光る】についてご紹介したいと思います。

どうしても“盤で買いたい”衝動に駆られてしまう、“音と言葉”を武器に作られたLibro作品。本作も、その両面において高いクオリティを発揮した素晴らしい作品になっています。

それではいってみましょう。

【風光る by LIBRO】
風光る 

<収録曲>
1. 風光る
2. オンリー NO.1 アンダーグラウンド feat. 漢 a.k.a.GAMI
3. 8時の時報
4. カウントナイン
5. NEW feat. ポチョムキン
6. 永久高炉 feat. DJ BAKU
7. キミは天を行く
8. 花道 feat. 小林勝行
9. 熱病 feat. 5lack
10. 通りの魔法使い feat. 仙人掌
11. コントラスト
12. あまなりしき
13. てん

Libroは私にとって、視聴する前から新譜を発売日に買おう”と思える数少ないアーティストのひとりです。ちなみに私にとってそれに該当する他のアーティストとしては、これまでの作品を通じて信頼を寄せるようになったKREVA、RHYMESTER、AKLO等がいます。(結果、シーンを代表するアーティストばかりですね。)それほどまでに、発売前から楽しみにしていたLibroの新作でしたが、今作も期待を裏切らないどころか、更にその信頼を確固たるものへとしてくれる、そんな素晴らしい作品でした。

前回、Libroをご紹介した【拓く人】の記事でも言及したとおり、昨年2015年においてLibroは合計3枚の作品を発表し、シーンを大いに盛り上げてくれました。そして、その勢いは今年に入っても留まることを知らないようで、わずか1年という短いスパンで2枚目となるソロ名義のフルアルバムを私達に届けてくれました。その密度の濃い1年間の経験が反映されたように、傑作と名高い前作と比べてみても、本作からはそのアルバム構成、リリックやトラックにおける表現の端々で、Libroの更なる進化を感じ取ることができます。

それでは、このアルバムに収録されている各曲への感想を通して、本作品の魅力について書いていきたいと思います。本当にどれも素晴らしい楽曲ばかりなのですが、その中でも私が特に印象に残った楽曲達について書かせていただきます。


各曲についての感想

1. 風光る
アルバムの表題曲です。一聴しただけで本作を聴くことへの喜びが全身に染み渡る気持ちになります。このアルバムの前作と異なる特徴として、曲と曲との間が心地よく繋ぎ合わせられていて、まるでMIXCDのような聴き心地を感じるという点がありますが、この楽曲でも次曲への華麗なる繋ぎを体感することができます。単なるクロスフェードではない見事なつなぎは必聴です。一聴するだけで聴く者の心を奪い、気づかない内にアルバムに引き込ませるという、導入に求められる完璧な仕事をこなす素晴らしい一曲目だと思います。

2. オンリー NO.1 アンダーグラウンド feat. 漢 a.k.a.GAMI
これまで【マイクロフォンコントローラー】、【自由型スキル】という2曲の客演でその相性の良さを見せてくれた漢との制作曲が、本作にも収録されています。リリックを一切書かずに、RECブースに入って録っていくという漢お馴染みのスタイルで録音されたという本楽曲も、漢の天性のスキルと溢れんばかりの魅力を感じられる素晴らしい楽曲に仕上がっています。漢のラップは改めて唯一無二なものだと痛感させられる共に、それを毎度十二分に引き出すLibroのビートの良さも再確認させられます。

5. NEW feat. ポチョムキン

現時点で本アルバム収録曲で唯一MVが公開されている楽曲です。そして、このアルバムの魅力を伝えるに相応しい最高のリード曲だと思います。“同世代で声質的にも割と近くにいたラッパーの一人”だとLibroが語っていた客演のポチョムキン(from.餓鬼レンジャー)。確かに聴いてみると二人に共通する魅力を感じることができます。抜群の相性の良さではないでしょうか。そして特筆すべきは、なんとも心地よく耳に残るフックです。Libroの音楽的センスを感じるのはもちろんのこと、そのメッセージ性の高いリリックにもヤラれてしまいます。改めて彼が“音と言葉”その両方を武器に戦っているアーティストであることを再確認させられますね。

12. あまなりしき
3バース目にその事実が明かされるように、1、2バースのリリックにおいて、日本の祝日が網羅的に語られている楽曲です。私もこの楽曲がきっかけで改めて日本の祝日をひとつひとつ、その日に込められた意味も併せて調べてみました。結果、私も改めて日本に生まれた喜びと誇りを感じることができました。1月の元旦から一年の流れに沿って順番に語られていく日本の特別な日。今年2016年から導入された“山の日”ももちろん入っています。少し野暮かもしれませんが、自身の備忘も兼ね、本楽曲でそれぞれの日がどのように語られているかという私の解釈を下記にまとめてみました。もし興味がある方がいらしたら、ご参考にされてみて下さい。  

元旦“本年度も充実誓う元旦に決意書初め”
成人の日“またひとまわり大人になるため駆け出す”
建国記念日“建国偲び祝う誕生日”
春分の日“大地讃頌特に猫慈しむ毎日”
 ※法律上の趣旨:「自然をたたえ、生物をいつくしむ」
昭和の日“昭和を顧み将来を思う”
憲法記念日“当然ルールは自分たちで決めたい”
みどりの日“自然の恵みに感謝し育む”
 ※法律上の趣旨:自然にしたしむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ
こどもの日“次世代何世代も当たり前に和を重んじ積み重ね”
海の日“海に囲まれ守られ手にする恩恵”
山の日“山にも親しみ四季の彩り”
敬老の日“祖先が尽くしてくれたから”
秋分の日“2千年以上のつながり敬い”
 ※法律上の趣旨:祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ
体育の日“健康第一心と体動かして休める固まった頭”
文化の日“自由と平和は悪用厳禁”
 法律上の趣旨:自由と平和を愛し、文化をすすめる
勤労感謝の日“次の収穫祭まで活動的によくよく働いて成果を祝おう”
天皇誕生日“師走最後の祝日に本心確かめる紛れもなくおれも日本人”

ちなみに、曲の随所に挿入されている逆再生されたような人の声や、意味深なタイトルなど、この楽曲にはまだまだ隠された仕掛けがありそうですね。引き続き聴き込んでいきたいと思います。

13. てん
アルバムの最後にこの曲を聴くと、まるで目の前にエンドロールが流れてくるような感覚を得ます。リリックを聴いていると愛する女性にあてられた曲だと思いきや、実は今年2月に亡くなった9sariカフェの看板猫“10(てん)ちゃん”について書かれた楽曲だということに気づきます。楽曲の最後に挿入された10ちゃんの鳴き声、スペシャルサンクスに書かれた“10”の文字を見ていると、ジャケットに描かれた猫もきっと10ちゃんなのだろうという確信を抱きます。

タイトルを敢えて平仮名にするところもLibroらしいですよね。この曲を送る“10(てん)”ちゃんが、召されていった“天(てん)”。そして、アルバムが「。(まる)」ではなく、「、(てん)」で終わるということも、もしかしたら意識しているのかもしれません。97年にデビューしたLibroですが、その活動は本作をもっても“読点”というべき通過点に過ぎないでしょう。これからも数多くの名作を作り上げ、私たちを喜ばせてくれるに違いありません。

てん 

今回ご紹介した上記の5曲以外も、素晴らしい名曲ばかりです。“自身が敬愛するMCを集めた”とLibroが語る客演陣には、錚々たる面々が揃っています。

楽曲【時の鐘】でもLibro作品に参加していた<DJ BAKU>はアルバムにおける”特に重要な転換のインスト曲”とLibroが語る曲でコスリを入れていますし、【ある種たとえば】でも客演していた<小林勝行>とは、心に沁みる見事な楽曲を作っています。また、以前からコラボを待望していたと語る<5lack>との楽曲では、Libroの名曲【雨降りの月曜】をオマージュしたかのようなリリックがでてきます。そして、<仙人掌>との楽曲では、リリックに出てくる“音の効能”を最大限に味わってもらう為に歌詞カードにリリックが書かれていないという点にも、作品への拘りを感じさせられました。

本作はとにかくアルバム構成が秀逸なゆえに、前作に比べてみても、単曲でのつまみ聴きをする意欲が全然沸きませんアルバムの頭から最後までを通して聴きたくなってしまいます。曲間のつなぎ、楽曲の並びで、聴き手のテンションを見事にコントロールした後に、見事な幕引きを見せるという、まさに映画のような力を持ったアルバムだと思います。是非、一枚通して聴いてみていただきたいと思います。

【風光るCM】


以前インタビューで語っていた“やるときはとにかくやる”という言葉通り、昨年からあふれ出る製作意欲で見事な作品を連発しているLibroですが、この作品以降の本年度においては、プロデュース業を中心に活動していくようです。彼のプロデュース曲も楽しみですが、やはりLibroは“音”だけでなく“言葉”も味わいたいという人も多いと思います。そんな方は、是非本作をチェックしてみてください。素晴らしい世界がここには広がっていますよ。

では、今回はこのへんで。






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2 Comments

通りすがり  

こちらの秀逸な記事を読んで風光るの購入を決めました。
ありがとうございます。 届くのが待ち遠しいです!

2016/06/04 (Sat) 14:34 | EDIT | REPLY |   

Pto6  

Re: タイトルなし

> こちらの秀逸な記事を読んで風光るの購入を決めました。
> ありがとうございます。 届くのが待ち遠しいです!

通りすがり様
コメントをくださりありがとうございます^^そのように言っていただけるとブログ書き冥利に尽きます。本記事がこの作品を購入するきっかけになれたのだとしたら、これほどうれしいことはありません。わざわざコメントを書き残してくださり本当にありがとうございました。

とても素晴らしい作品だと思いますので、ぜひぜひ届いたら堪能してみてください。聴けば聴くほど魅力が光る作品だと思います^^

2016/06/05 (Sun) 11:41 | EDIT | REPLY |   

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