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Pto6の備忘録④(Nujabesで味わうInstrumentalの魅力)

どうもPto6(ぴーとろっく)です。

今回は、私の大好きな音楽プロデューサーNujabesに関わる楽曲をご紹介しながら、インストゥルメンタルの魅力について書いてみたいと思います。

理系ながらに文学少年だった私がもともとHIPHOPに興味をもったのは、やはりラップという表現方法の面白さがキッカケでした。韻の楽しさ、表現の幅広さ、リリックに潜んだ比喩やレトリック。それら言葉選びの面白さが少年時代の私を夢中にさせてくれました。そして、今でもその虜になっているのです。

そんな言語的な魅力に惹かれてHIPHOPへと入った私が、ラップの入っていないInstrumentalの楽曲を聴くようになったのはNujabesがキッカケでした。不慮の事故によりこの世を去ってからも、今だに世界中に根強いファンがいる日本が誇るプロデューサーNujabes。最近では、テニスプレイヤーの錦織圭が彼のファンであることを公言したことから、更に多くの人に知られる存在になりましたよね。

Nujabesのつくる音楽には、普遍的な美しさがあります。それゆえに多くの人が彼の音楽の虜になっているのでしょう。また、彼の楽曲からHIPHOP的美意識を感じられるのも、私にとっては魅力のひとつです。Jazzy-Hiphopと形容されることの多い彼の音楽には、紛れもないHIPHOP精神を感じることができます。

もともと、レコードコレクターとして世界中の音楽に精通していた彼が選ぶサンプリングネタは、ジャンルネスで良質な音ばかり。また、どんなに美しい上モノの旋律を取り入れても、ドラムの音が常にしっかりと鳴っているところに、私はNujabesのHIPHOPへの愛と理解を感じます。そして、その絶妙なHIPHOPのエッセンスが、彼の音楽を単なるラウンジやイージーリスニングといったジャンルの音楽とは一線を画す、Nujabesミュージックの根幹を支える重要な要素になっているのです。

そんな美しくも刺激的なNujabes音楽に出会った私は、一気にその世界にハマっていくことになりました。彼が主宰するレーベルhydeout productionsがリリースする作品をはじめ、彼が音楽プロデューサーを務めたアニメ(サムライチャンプルー)のインスト作品、彼がトラック提供した他アーティストの作品等、彼が携わった音楽作品達が、どんどんと私の世界を広げてくれました。

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これらの音楽との出会いが、その後における私のHIPHOPの楽しみ方にも影響を及ぼしました。それまではリリックばかりを追っていた日本語ラップにおいても、トラックを味わうという新しい楽しみ方が身に着いてきたのです。そして、そのことにより、ラップ抜きのInstrumental曲をも楽しめるようになっていったのです。

そんな風に、私にInstrumentalの魅力を教えてくれたNujabes。今回は、そんな彼の楽曲をご紹介しながら、それぞれの曲について私が思う魅力を書いていきたいと思います。きっとこの世界に“まだ足を一歩踏み入れただけ”の私の拙い感想だからこそ、未だ足を踏み入れていない誰かの小さなキッカケになれることもあるのではないか、という淡い期待を抱きながら。

好きなNujabesのInstrumental

それでは、私が好きなNujabesのインスト曲について書いていきたいと思います。楽曲のセレクトについては、Nujabesの代表的作品である、ソロアルバム3枚(1st、2nd、3rd)と、Nujabes主宰のHydeout productionsコンピアルバム2枚(1st、2nd)から1曲ずつセレクトした5曲とさせていただきました。それではいってみましょう。


【Color Of Autumn】


Nujabes最後のアルバムとして、彼の死後発表された3rdアルバム【spiritual state】に収録されている楽曲です。わずか1:43で鮮やかに表現する音の世界を是非とも味わっていただきたい。聴き終わると秀逸な短編小説を読み終えた時の様な爽やかな読後感を味わうことができます。微かに聴こえるレコードの針が鳴らすチリチリといった音が、楽曲のもつ哀愁を一層高めていますよね。“レコードが針と接触して音を鳴らすことは、再生であると同時に演奏でもある”というNujabesの言葉を思い出してしまいます。

タイトルの【秋の色彩】というのも聴く側の想像力を掻き立ててくれます。私はこの曲を聴くと、ひんやりとした秋の風を感じながら、色彩豊かな落ち葉を踏みしめ並木通りを颯爽と歩く情景が目に浮かびます。アルバムの中では後半戦へと転換するSkitのような役割を果たす短い曲なのですが、秋好きな私はこの楽曲を聴くたびに幸せな気持ちになります。秋が近づくこの季節にこそ聴きたい、そんな一曲です。


【Still Talking To You】


Nujabesが主宰するHydeout productions初のコンピ作品【hydeout productions First Collection】に収録されている楽曲です。Nujabesは作品を重ねるごとに、どんどんと音のまろやかさと暖かみが増し、より抒情的な表現力を深めていくのですが、この楽曲のような初期作品には、晩年のNujabes曲とはまた違ったキレの良さHIPHOP的カッコ良さという魅力を感じることができます。この楽曲も聴いていると思わず身体を揺らしてしまいますよね。

力強いベース音小気味良いビートが曲を最後まで牽引し、その上で跳ねるピアノの旋律が華麗さを、随所に挿入されるボーカル・サンプリングがファンキーさを付随し、効果的なスクラッチが楽曲全体を引き締めています。随所にNujabesの遊び心を感じられますよね。様々な要素の美味しいところをいっぺんに味わえる、そんな贅沢な一曲です。


【Letter From Yokosuka】


Nujabesの1stアルバム【metaphorical music】に収録されている楽曲です。とは言え、実はこの楽曲はNujabesが制作した曲ではありません。この楽曲は、その後Nujabesが最も信頼をよせるパートナーとして数々の楽曲を共同製作することとなる、Nujabesのイズムを正統に引き継いだ後継者とも言える人物uyama hirotoが初めてプロデュースした楽曲なのです。当時無名のuyamaから届いたこの“音の手紙”がNujabesの心を掴んだことで、その後の二人の関係へと発展していきました。

uyamaが演奏するSAXの美しい音色と旋律が、聴いている人を夢見心地にさせてくれます。私は横須賀に行った記憶はないのですが、この楽曲を聴いていると、さぞ素敵な町なのだろうなと想像してしまいます。気持ち良い潮風が頬を撫で、凪いだ水面がキラキラと光っている。そんな美しい景色が、この曲を聴く私の瞼の裏には広がっています。いつかこの曲を聴きながら、横須賀の町をゆっくりと散歩してみたいものです。


【reflection eternal】


Nujabesの2ndアルバム【Modal Soul】に収録された楽曲で、Nujabesの代表曲とも言える人気の高い楽曲です。私もこの曲からNujabesを知り、Instrumentalの魅力に惹かれていったように覚えています。聴き始めの頃に呆れるほど聴いていた為、ここ最近ではあまり聴いていなかったのですが、この記事をきっかけに聴き返してみると、改めてこの曲の持つ普遍的な美しさに気づかされました。きっと誰もの心に響き得る、そんな楽曲ではないでしょうか。

もはやリリックといっていい程、言語的な意味が付与されたボーカル・サンプリングですが、それらの言葉以上に雄弁に語りかけてくる音の力に驚きを覚えます。直接的な語りかけではない音だからこそ、想像力次第で無限の情景を思い浮かべることができる、そんなInstrumentalの魅力を体感できる一曲です。ちなみに、この楽曲のセルフアンサー曲とも言われる【Another Reflection】も素晴らしい楽曲です。興味のある方は是非そちらも聴いていみて下さい。


【After Hanabi -listen to my beats-】


コンピ2作目【hydeout productions 2nd Collections】のラストに収録されている楽曲です。Nujabesプレイリストを作ると、どうしてもこの曲を最後に持ってきたくなってしまいます。もしやと思って確認してみましたが、錦織圭のコンピアルバムでもこの楽曲がラストに持ってこられていました。楽曲を聴いてみると、その気持ちが良くわかると思います。

タイトルの通り、花火大会の後のなんとも言えない哀愁がとても良く表現されている楽曲です。実際の花火の音や、それを見る観客の声が挿入されており、ノスタルジックな想いに駆られる“夏の終わり”独特の情緒が湧き上がってきます。秋の方が過ごしやすくて気持ちい季節なのに、なぜ夏が終わりに近づくとこんなにも切ない気持ちになるのでしょうか。夏の終わり、少しだけ肌寒く感じるようになった夜に、無性に聴きたくなる楽曲です。楽しかった夏の思い出を胸に、しんみりと味わってみてはいかがでしょうか。


さて、今回ご紹介した5曲はNujabesのInstrumental曲のほんの一端に過ぎません。他にもこれらの楽曲に勝るとも劣らない名曲がたくさんあります。Nujabes作品のアルバムは、このようなInstrumentalの楽曲と、ラップ(英詞)が入った楽曲が程よくブレンドされた構成になっており、そのことで楽曲単体で聴くのとはまた違った味わいを感じることができます。興味を持たれた方は、是非ともアルバムとしても聴いていただきたいと思います。どの作品を選ばれても外れが無く、アートワークも綺麗なので、いっそジャケ買いをしてみてもいいかもしれませんね。

そしてなにより、今回は記事にするにあたり動画で楽曲をご紹介してきたが、これらの楽曲を真の意味で味わう為には、音質の良いレコードやCDで聴くことが必要だと思います。Instrumentalはリリックがない分、本当に音のひとつひとつの鳴り方にまで拘って作られています。是非とも音質の良い環境でこの世界を味わって欲しいなと思います。


私は心がささくれた時、ハードなHIPHOPが聴けなくなることがたまにあります。そんなときは、他のジャンルや、今回ご紹介したようなJazzy-HiphopのInstrumentalをよく聴いています。是非皆さんも、心が疲れてしまったとき、それを癒す音楽の選択肢にInstrumentalを加えてみてはいかがでしょうか。この記事が誰かのInstrumentalの入口になれたとしたら、それ以上嬉しいことはありません。

では、今回はこのへんで。



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2 Comments

えるも  

どうもです♪

訪問しに来ました~♪

2016/09/27 (Tue) 18:03 | EDIT | REPLY |   

Pto6  

Re: どうもです♪

> 訪問しに来ました~♪
ありがとうございます!

2016/10/01 (Sat) 09:52 | EDIT | REPLY |   

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