HIPHOPの必須トーク

日本語ラップ・MCバトルの“今”を語るブログ

動画を投下㉘(始まりのストーリー by KZ、ふぁんく、Kenny Does、tella、テークエム、KOPERU From 梅田サイファー)

どうもPto6(ぴーとろっく)です。

今回は先日アップされた梅田サイファーの新曲【始まりのストーリー】について書きたいと思います。11/9に発売される2ndアルバム【UCDFBR sampler Vol.2】の1曲目に収録されているアルバムリード曲で、梅田サイファーの魅力溢れる楽曲になっています。

それでは、いってみましょう。

【始まりのストーリー by 梅田サイファー】


“今踏み出した小さな一歩 その晩産声をあげた俺らのHIPHOP”

梅田サイファーの2ndアルバムが出る。1stアルバム【See YA At The FootBridge】が好きで、何度も聴き返している私にとって、それはとても嬉しい知らせでした。また彼らの楽しいラップがアルバムで聴ける。その喜びに舞い上がる気持ちを覚えたのは、きっと私だけではないでしょう。


空前のMCバトルブームの影響で、全国各地で盛り上がりを見せているサイファー。しかし、その中でも“梅田サイファー”には、他とは違う特別なブランド感を私は感じてしまいます。こうして全国流通のアルバムを“サイファー名義”で再び出せるという事実を見ても、その知名度と人気の高さを窺うことができますよね。少なくとも現在大阪に住んでいる私が、彼らと同じ街にいることに少なからざる誇りと喜びを感じているのは紛いもない事実です。

現在のブームの火付け役を担ったR-指定をはじめ、これまで多くの有名MCたちを輩出してきた梅田サイファー。もちろんそれは、才能ある若者達がたまたま梅田に集まったという奇跡的要素も多少はあるのでしょう。しかしそれ以上に、その才能の芽を開花させた“梅田サイファー”という土壌が本当に素晴らしい環境なのだろうと、今回の楽曲【始まりのストーリー】を聴きながら改めて感じることができました。

梅田サイファーの音源を聴いていると、彼らが“ラップをしたい”という純粋な衝動に駆られているということを強く感じます。きっと彼らにも野心や打算がないわけではないのでしょう。しかし、それ以上に前面に出ている“ラップが好きだ”という損得勘定抜きの感情が、私の胸を熱くさせてくれるのです。その邪な下心なき無垢な想いが、梅田サイファーから感じる“青春感”に繋がっているのではないかと私は思います。

ぶっきらぼうなようで実はあたたかい、KZらしさが溢れたラップから始まるこの楽曲。実はこの曲は、私が好きになるマイクリレー曲の三つの要素をすべて満たしてくれています。一つ目は、MC達がそれぞれの個性を出してバラエティに富んでいること。本楽曲では、KZふぁんくKenny Doestellaテークエムそれぞれが、誰しもにあった“スタート”について、五者五様の聴き応えのあるラップを披露しています。それぞれのスタイルの違いも面白く、何度聴いても新鮮な発見があります。

二つ目は、多様なフローを乗せることができるシンプルだけれども味わい深いトラックであること。人数の分だけループし続けるトラックは、マイクリレーの良し悪しを決める大事な要素です。本楽曲では、1stでもアルバムの屋台骨を担ったトラックメイカーdio jによる爽やかさと哀愁を心地よくブレンドした青春感あふれるトラックが、この素晴らしいマイクリレーを引き立てていますよね。

最後三つ目は、何度でも繰り返し聴きたくなる魅力的なフックであること。トラックと同様に、マイクリレーにおいて繰り返し登場するフックも大事な要素の一つです。これが魅力的でない楽曲は、長く聴き続けることが難しいように思います。しかし、本楽曲ではKOPERUによる人懐っこい耳馴染みの良いラップがフックに添えられており、主張が強すぎないけれども印象に残るという抜群のバランスで楽曲の世界観を広げてくれているように思います。

本楽曲のMVも、少年が踏み出す最初の一歩がドラマチックに映像化されていて素敵です。後半のサイファーの映像部分もいいですよね。浮かび上がる“梅田サイファー”という文字に、サイファーや仲間たちへの愛と感謝を感じてしまいます。

さて、サイファーへの愛と感謝といえば、私はこの楽曲のことを思い出してしまいます。いつかブログに書きたいと思っていた曲なので、最後に少しだけこの曲についても書いてみたいと思います。

【円 by ふぁんく】


“目の前のお前のスマイルが栄養ドリンク それが俺の成長とリンク”

タイトルのとおり“円(サイファー)”について、ふぁんくが歌っている楽曲です。今回紹介した【始まりのストーリー】にも通ずる、ふぁんく自身の“始まり”や、サイファーを去っていった仲間たちの“終わり”についても触れられています。終始あたたかい愛を滲ませるふぁんくのラップが、メロウな曲調と相まって胸に迫ってきます。

そんな愛情あふれるラップもさることながら、この楽曲を聴いていると、ふぁんくのラップスキルの高さを改めて痛感してしまいます。スキルというのは何も、変則的なフローを繰り出すことでも、長い文字数でライミングすることでもありません。描き出すストーリー、その文脈の中にあくまでも自然に、そして必然的に配置する韻。それら滑らかな韻の繋ぎ合わせにより、自然と生み出される心地よいリズムとフロー。日本語の持つ音の特性を理解した上で、耽美的なまでにこだわり抜かれたスキルで成り立つ彼のラップを聴いていると、ラップにおけるスキルとはなんなのかを改めて確認することができます。

きっとそんな味わい深いラップのスキルも、ふぁんくが梅田サイファーで培ったものなのでしょう。認め合える仲間たちと大好きなラップができる最高の環境。そんな中で磨かれたスキルが小手先だけのテクニックに留まるはずがありません。それらサイファーから学んだすべてが、彼らのラップにはしっかりと宿っているのでしょう。そして、そんなラップだからこそ、私は強く心惹かれてしまうのだと思います。

梅田サイファー2nd 

さて、今回は梅田サイファーの楽曲について書かせてもらいました。彼らの音楽からは、彼らにしか出せない“ストリート感”を感じます。現在のブームで周りからの注目度は大きく変わったことでしょう。しかし、周りの環境や仲間は変わっても、純粋にラップがしたいという気持ちで人が集まりできる“輪”。きっと、その中にいる彼らにとっては、いつもと変わらない景色が広がっているのかもしれません。これからも楽しい音楽をたくさん届けてほしいなと心から願っています。

では、今回はこのへんで。

関連記事

0 Comments

Leave a comment

ブログパーツ