HIPHOPの必須トーク

日本語ラップ・MCバトルの“今”を語るブログ

新作音源に小さく貢献⑰(AWAKENING by 鶴亀サウンド)

どうもPto6(ぴーとろっく)です。

新年明けましておめでとうございます。2017年もゆるりとブログを書いていけたらと思っております。今年も何卒よろしくお願い致します。

さて、今回は新年一発目の記事として、新春に相応しい縁起の良い名前をもったユニットの作品について書きたいと思います。LIBROとポチョムキンからなるユニット鶴亀サウンドの1stアルバム【AWAKENING】です。

既に発売から1か月以上経ってしまいましたが、その新春感漂うユニット名から、アルバムを聴いた時点で「新年一発目に書こう」と決めていた作品でした。既に多くの人から絶賛されている本アルバムですが、遅ればせながら私の感想も書かせていただきたいと思います。

それでは、いってみましょう。

【AWAKENING by 鶴亀サウンド】
鶴亀サウンド 

<収録曲>
1.Intro~鶴亀サウンド
2.AWAKENING
3.MOVE ON
4. 踊る人 
5. 二重螺旋
6.SEARCH
7.THE BEST
8.Skit ~鶴亀トーク
9. テレパシー 

LIBROポチョムキン(from 餓鬼レンジャー)による新ユニット鶴亀サウンド。餓鬼レンジャーの楽曲【Raindrops】で初共演を果たした二人は、昨年LIBROの2ndアルバム【風光る】におけるリード曲【NEW】を制作した時点で、このユニットの結成と本アルバムのビジョンまで見えていたと語っています。過去曲においても抜群の相性の良さを発揮していたLIBROとポチョムキン。その二人がユニットを組むと聞いた時点で、私は期待感に胸が躍ってしまいました。


そんな二人が作り上げた本アルバムは、誰にでもお薦めできる、いや、“誰にでもお薦めしたくなる”素晴らしい作品に仕上がっています。本作の大きな特徴としては、上記のアルバム【風光る】でも見られたように、楽曲と楽曲がシームレスに繋ぎ合わされており、アルバムを通して流れるように聴くことができるという点があります。アルバムがコンパクトな曲数で構成されているということも相まって、何度でも繰り返し聴きたくなってしまいます。

そして、私が思うこの作品最大の魅力は、“音で躍らせ、歌詞で唸らせる力”を収録されたすべての楽曲が具えているという点です。巷に蔓延る“躍らせることだけ”に特化した中身スカスカの音楽や、逆にメッセージ性に凝るばかりに“頭でっかち”になってしまっている音楽とは一線を画し、その二つの重要な要素をしっかりと満たしながら、どちらも損なわすことなく、絶妙なバランスで両立してみせているのです。

よく耳にする“顔は良いが性格が悪い人と、顔は悪いが性格が良い人”という究極の二択がありますが、誰もが本当は“外見も内面も良い人”がいいに決まっています。それと同じように、“聴き心地も良く中身も詰まった”外面と内面両方を具えたこの鶴亀サウンドの音楽は、多くの人が潜在的に求めている“理想の音楽像”を満たしてくれているのではないかと私は思います。

さて、そんな本作ですが、実は既に本人たちによる“全曲解説”がされています。おそらく、この動画を見ただけで本作の魅力は十二分に伝わってくるのではないでしょうか。

【鶴亀サウンド 『AWAKENING』 アルバム解説】


このように、既に他でもない本人たちによる解説が存在している状況であるため、この記事ではそんな解説を受けた上での“全曲感想”というものを書いてみたいと思います。各曲ひとことずつですが、曲中リリックの好きな一節と共に、個人的に感じたことを書かせていただきたいと思います。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇

1.Intro~鶴亀サウンド
竜宮城をイメージしたという煌びやかなイントロ。心地よく聴く人をアルバム世界へと誘ってくれます。ハーブの音色が印象的ですが、この時期に聴くとその音がいっそう“新春感”を引き立ててくれます。

2.AWAKENING
“俺は特別じゃない悟ったら次の分かれ道きっとそこから”

音と言葉が心地よく溶け合ったアルバムを象徴するような楽曲です。そのタイトルの通り、聴くたび全身の細胞がはっと“目覚める”ような感覚を得ます。良質な音楽に、そして前を向いた生き方に、この曲を聴くと様々なことに目覚めさせてもらえるような気がします。強度ある二人のリリック、キャッチーなフック、自然と頭を振らすトラック。どこをとっても秀逸なアルバムタイトル曲です。

3.MOVE ON

“伝え方は厳選してく 良くも悪くも伝染してくんだから”

昨年末に新春感溢れるMVがアップされた本楽曲。“動き続けること”の重要性を説いた楽曲で、“想像力”を使った制作の過程をも表したリリックになっています。そのメッセージ性もさることながら、思わず口ずさんでしまうノリノリのフックがたまりません。本アルバムはクリーンナップ3番~5番が特に踊れる3曲となっているのですが、この楽曲はその一角を担う3番打者。この打順の中で次に繋げる実によいはたらきをしてくれています。

4. 踊る人 

“上下に左右前後確認まとってる空気も全部作品”

アルバムリード曲にして最強のスラッガーであるこの楽曲。これだけの強力打線の中でも堂々と4番を務め上げています。タイトルに偽りなしで、とにかく踊れる楽曲です。ギアを上げていくように徐々に変化していくトラック。特に2番目のフック終わりからのトラックの流れは、誰しもを躍らせてしまう力を具えているように思います。“ひょっとしたら”と謙遜してみせていますが、この二人が“天才”であることを疑う人はいないのではないでしょうか。

5. 二重螺旋
“知識儀式より新しきを意識し期して上げてけ調子”

【踊る人】でMAXに上げたテンションを、下げることなく心地よくフォロースルーさせる役を担った楽曲。前曲からの華麗な繋ぎ合わせは必聴です。特徴的なフローが面白くて癖になってしまいます。リリックも“二重螺旋”というタイトル通り、右往左往しながらも少しずつ上昇していく様がよく表されています。抜群にファニーな一曲ですが、特に後半のリリックは心に響くラインが連発で唸りっぱなしです。

6.SEARCH
“自分を疑って肯定出来ない気持ちと敵対し原動力にしてきたい”

盛り上がるクリーンナップ3曲が終わり、この楽曲が火照った体を揺さぶりながら、気持ちよくクールダウンさせてくれます。そのような立ち位置の楽曲の為、一聴した際にはアルバムの中で最も地味な楽曲のように思えるのですが、実は最もリリックが冴えわたっている楽曲です。スローテンポで全編オートチューンというしっとりとした楽曲で、その言葉一つ一つがしっかりに胸に迫ってきます。

7.THE BEST
“突然のエラー 偶然の出会い 必要以上に算数しても無駄”

明るくご機嫌なミドルテンポの楽曲。以前私はLIBROの1st【拓く人】でも、この曲と似た雰囲気の楽曲【0119】が最も好きな曲だと言っていましたが、このアルバムではこの【THE BEST】が私の一番好きな曲です。なんといっても普遍的でわかりやすい前向きなメッセージと、聴く側のテンションに左右されずいつでも身をゆだねられるポップな曲調が大好きです。この曲を聴くと、すっと肩の力が抜け「難しいことは考えず目の前のことにとにかくベストを尽くしてみよう」という前向きな気持ちになれます。こういうささやかながら大切なことを押しつけがましくなく陽気に伝えてくれる楽曲を、どうやら私は好きになってしまうようです。


8.Skit ~鶴亀トーク
鶴亀サウンドのユニット名が決まるキッカケともなり、二人の共通項でもある“飼っている亀”についてのトークを元に作られたSkit。次の楽曲【テレパシー】への橋渡し的な役を担っています。Skitではありますが、背景で鳴るトラックは相変わらずカッコいいです。

9. テレパシー 
“おかえりただいま呼び合いあの子達の顔早く拝みたい”

二人がそれぞれ飼っている“愛亀たち”に向けられたラブソング。動物愛溢れるなんとも二人らしい楽曲です。私は現在動物を飼っていないのですが、生後4か月となる娘がいる為、このリリックにある“可愛くてしかたない”という対象物を娘に置き換えて深い共感を感じています(笑)この楽曲で歌われている通り、何の損得勘定のない“無垢な存在”というのに人は癒されてしまいますよね。こんな可愛い楽曲でアルバムを締めくくるのも、実にこの二人らしいなと思ってしまいます。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇

さて、今回は新年一発目の記事として、新春に相応しい鶴亀サウンドのアルバムについて書かせていただきました。改めてこうやって全編通して聴いてみると、本当に素晴らしくて愛すべき作品だと感じます。

この作品は、タワーレコード発HIP-HOP レーベル「Glue」の第1 弾コラボアーティスト作として発売されました。そこでの公式キャッチコピー“鶴亀の如く、今後1000 年、10000 年風化しない強力な1枚”というのはなんとも秀逸ですよね。そして、それを決して誇大広告にしていない作品の中身も、本当に素晴らしいなと思います。

二人のインタビュー記事を読むと、鶴亀サウンドは今回一回きりのユニットでなく今後も二人での活動も続けていくようです。その為に、LIBRO×ポチョムキンではなくユニット名を付けたんだとか。今後の二人の活動も本当に楽しみですよね。次回作が今から待ち遠しいです。

では、今回はこのへんで。



関連記事

0 Comments

Leave a comment

ブログパーツ