HIPHOPの必須トーク

日本語ラップ・MCバトルの“今”を語るブログ

名勝負の継承文⑬(NAIKA MC vs FORK フリースタイルダンジョン3rd)

どうもPto6(ぴーとろっく)です。

今回は、心をぐっと掴まれた名バトルがありましたので、久しぶりにMCバトルの書き起こしをしたいと思います。そのバトルは、先日のフリースタイルダンジョン(3rd season Rec5-1)で放送された【NAIKA MC vs FORK】です。放送後、ネット上でも大絶賛されていました。

もともと字幕付きのバトルについて“書き起こし”というのは何だか変な話ではありますが、思想を味わう為の写経のように、文章のリズムを感じる為の書き写しのように、改めて自ら文字にすることでの新たな発見を期待して、そして、この継承文シリーズに自分の好きなバトルを全てコレクションするという個人的な目的の為、今回書き起こしをさせていただきたいと思います。

それでは、改めてこの名勝負をみてみましょう。(一部、放送の字幕から追記や修正をしていますが、その点ご了承下さい)

【NAIKA MC vs FORK フリースタイルダンジョン3rd】

FORKvsNIKA 

<ROUND1>

【FORK】
ようNAIKA
お前に足りねえのはライムだ
それを教えに来た
FORKレペゼンICEBAHN
これはルールじゃねえ
HIPHOPマナーだ
お前は今まで群馬で何を学んだ?
そのマナーを学ぼうとしねえ奴は
マナーモードみたく黙って
ブルブル震えとけ ボケ
邪魔なんだよ下がれチャレンジャー
俺はお前が超えられる壁じゃねんだよ

【NAIKA MC】
え?壁だと思ったこと
一度だってねぇけど?
え~何この人 韻がどうこう
はぁ?死ねよテメーおい!
別に気にしてないよ韻を踏むんだろ
ひたすら踏んでくれよ
踏まなくてもお前の10年後によ
韻踏まなくてもテッペン取ったぞ おい

【FORK】
言ったろ?
韻だけってのは俺にとって褒め言葉
寿司屋で寿司しかねえって
言ってるのと同じ事だ
変わらねえやり方やってる
俺らがICEBAHN
変わらねえんだよ常に一味はライムだ
変わらねえ味をじわじわと熟成
乗り方がどうとかこうとか
知ったこっちゃねぇんだ うるせえ
古い(フリー)スタイルで時代遅れ
でも1周回って
最先端までスキル磨いておくぜ

【NAIKA MC】
スキル磨いてもよ
他の戦いに出ねぇでここで何?
こうやって上から見てるわけ?
甘いよパイセン
下からアッパーくらったら
一撃でくたばるぜ?
おいおいおい何だよお前
寿司屋に来て寿司しかねぇって
寿司屋には来てねぇんだよ
お前じゃなくてハンバーグが食いたいな
焼いて じゅう~

【FORK】
背伸びすんのはいいけど
身の丈は超えるな
背伸びはまだ地に足がついてっからな
浮足立つなあくまで等身大
そういう言葉にしか俺は応答しない
お前のスタイルが
王道になっちまうんだったら
今後バトルの熱は相当冷める
それが正義だって言う
HIPHOPシーンなら
俺は抜いた刀をそっと収めるよ

【NAIKA MC】
そっと収めて帰れよじゃあ
別に韻だけじゃなくても勝ち上がれる
覚えとけよ温故知新
確かに韻はヤバい
でも何もできなくても
出来る事を証明したい
この前のDOTAMAの借りは
お前で返させてもらうぜ
甘く見んなよ
そんじょそこらの安いバトルじゃねぇ
NAIKA MC 今日はダンジョン
ひっくり返しに来たんだよ

<ROUND2>

【FORK】
アチー事言ってドヤ顔すんのやめろ
最後まであくまでラップやれよ
俺らはライムで切り開いていく
オリジナリティ つまり自己流
ハンドルとHIPHOPは
遊びがなきゃ事故る
事故ったら最後保険はきかねえ
自賠責に入ってても
次回席はねえんだよ
2階席で見とけ
時代劇みてぇにはいかねえんだよ

【NAIKA MC】
お前俺のこの帽子とった頭が
時代劇役者以上に役者だって事
知らねぇらしいな 教えてやるぜ
別に事故んねぇよ問題ない
シートベルトして安全に
韻踏んでるだけのお前とは違う
まるでラリーのように
のらりくらり先に進むぜ
熱い顔でドヤ顔
お前もクールな顔でドヤ顔
よしとけよ

【FORK】
1回優勝したぐらいで
群馬背負ってるつもりか?
偉くなったなNAIKA
ジョウジはどうした R da Master
ついでにガジローマイクも
入れときますか?
俺の地元じゃ
そんな事は口が裂けても言えねえ
ここで実力を示せ
井の中の蛙大海を知らねえ
お前はこの後必ず白旗をかざすよ

【NAIKA MC】
サンキュー 白旗かざしても
ケツは別に振るつもりはねぇよ
それと俺の地元のマイメン
出してくれてありがとう喜んでるぜ
井の中の蛙大海を知らず
されど空の高さを知るんだよ
分かる?地に居なきゃ分かんねぇ
アンタこそ何かやってんのかよ最近

【FORK】
何かやってんのかよ最近?知らねえ
ライムはお前の中に入っていく細菌だ
ウィルスはねえぜ ないぜワクチン
タッグチームじゃなくて
ソロでここで叩き潰すよ
NAIKA MC 群馬?知らねえ
こんな所までノコノコ出てくんな
お前の横浜の夜の事言ってやろうか?
お前の家庭壊すのは簡単だぜ

【NAIKA MC】
やめてください それだけは
やめてください それだけは
アホか?言ってみ
でもこれ最後のバースだぜ
後で終わったらなゆっくりとな
俺別に何言われても家庭は崩れねぇ
全ての上に積みあげて立ってるぜ
FORKさん 3人なら
最高にカッケェけど
HIDAさんとの勝負の
アンタはもういない

<ROUND3>

【FORK】
結局アチー事言ってる事だけだな
そんなもんかよNAIKA
韻踏めとは言わねえ
それはルールじゃなくてマナーだからな
だけどお前は何も学んでない
韻というのは
韻と韻の間を埋める言葉への愛だ
そこのセンスにHIPHOPがあんだ
分かるか?お前のやり方
そんなんじゃ通用しねぇって事を
ここで教えてやるよ

【NAIKA MC】
レクチャーサンキュー
韻と韻以外の事を
じゃあ教えてやるよ
韻で表現の自由が固まっちまうから
俺はそれに踏まれたかねぇ
俺の影を踏むなよ
アンタの負けになるぜ
1対1のこの勝負のやり合い
どこに行くのかなこの答え
天下分け目の大戦
いやいや俺達の希望は今日高ぇんだ
お前を撃ち殺して
般若も討ち取るんだよ

【FORK】
大戦じゃねぇよ マジでそう
俺はそう質より量じゃなくて
量より質でいくさ
このライム そう全て自由が生まれる
知らねえ ライムするのは
HIPHOPっていう理由だ
つまりそうReason Four Season
マイクだけで生きて来てる
マジでこのリズムに乗っけるぜ
沈むのはお前だ
そこでそう死んどけばいいんだよ
NAIKA MC

【NAIKA MC】
一度は沈んだ方が
男として恰好良くなるって
色んな奴に教わったからな沈んだよ
でも今そっから浮き上がってる
アンタこそさっきの1本目より
浮き足立ってるぜ
俺が量より質 質より量それよりも
良質のフリースタイルがしたいよ
それをしっかりと見せてくれよ
韻を今軽く踏んでみた
どうっすか?採点下さいよ

【FORK】
いやいや 全く出来ちゃいねえ
つまりNAIKA MCは
全く俺の敵じゃねえって事だ
量より質じゃねえ
その質が悪ぃから言ってんだ
今がお前の時代ならお前がいねえ
お前がダッセェから俺が呼ばれてんだろ
隠れモンスター 知らねえ
マジでそのままコースター
みたく落下してく急降下
つまりどっちが間違いねえ
HIPHOPか教えてやるぜ

【NAIKA MC】
俺の方がヤバいHIPHOP
だって言わしてやるぜ
お前のその目俺から絶対離すなよ
さっきから何か 隠れモンスターとか
正直俺いらねぇと思ってるよ
何故ならモンスター降ろさせたいから
俺はここから
モンスターぐらい成り上がるぜ
でもFORK最高にかっけぇのは確かだ
だがなアンタの韻より
俺の言葉が勝った 悪ぃけど
今夜の試合俺が全部かっさらった

勝者:NAIKA MC


それぞれのHIPHOPに対する美学、己のスタンス、その違いが浮き上がり、どちらも決して譲らないという素晴らしいスタイルウォーズです。おそらくは審査員席に誰が座るかによって、判定は如何様にも変わるというバトルではないかと思います。本当にどちらのMCもカッコいいですよね。

勝者となったNAIKA MCは、まさに言葉の力で勝利を勝ち取りました。対話力アンサー力というのは近年のMCバトルでは最重要事項となっている要素ですが、NAIKAはそれを極めた最たるMCだと思います。相手が出したパンチラインを更に上手いことを言って打ち返す“座布団一枚返し”や、ユーモアとバイブスを巧みに混在させる緩急のあるバース構成など、長年の経験から培った熟練のスキル試合巧者っぷりを、彼のバースの至る所から感じることができます。

しかし、そんなNAIKA MCの“強さ”が出たこのバトルですが、それに勝るとも劣らないほどの輝きを放っているのが、FORKの“上手さ”です。このバトルにおけるFORKのバースは、フリースタイルブームが訪れている今だからこそ多くの気づきを与えてくれる、まさに“1周回って最先端”ともいえるほど、MCバトルの本質・醍醐味が詰まっているように感じました。

バトル中の比喩でも出ましたが、FORKはどこか寿司職人を彷彿とさせてくれますよね。派手な創作寿司なんてのには一切手を出さない、昔ながらのスタイルを貫く老舗寿司屋の大将です。ネタの鮮度や質には徹底的に拘り、包丁を入れる角度、シャリの量、握りの力加減、手の温度までをも管理して作り出す極上の一品。昔ながらのシンプルなスタイルだけで戦うということは、それだけ研ぎ澄ませた技が必要となってきます。それゆえに、自分の腕に自信がなければ決してできないスタイルですよね。

ラーメンで言うなれば、昔ながらの醤油ラーメン、フォークに絡めて例えるなら、パスタで言うペペロンチーノでしょうか。いずれにせよ、それらは時代に関係なくいつまでも愛され続けるスタイルなのです。シンプルがゆえに奥深く、それゆえに作り手の技術がものをいう。そんなスタイルで戦い続けるFORKを見て、何かを感じ取ったMCも多いのではないでしょうか。

番組内では、R-指定もFORKに対する感動を口にしていましたが、放送後のTwitterでも多くのMC達がFORKについての賞賛の意を示していました。戦ったNAIKA MCはもちろん、現在のシーンにおいて押韻巧者として知られているふぁんく裂固も、FORKに対する感動を興奮冷めやらぬ感じで語っていたのが印象的でした。戦極15章の時のMOL53もそうでしたが、このように同業者に賞賛されるかどうかというのは、シーンの評価基準が曖昧になりつつある現在においても、ブレない基準の一つではないかなと私は思います。

ちなみに、今回赤字にさせていただいた箇所は、パンチラインの嵐となったこのバトルの中でも私が最も感銘を受けたラインです。以前私も別の記事で、韻と韻の“繋ぎの部分”の重要性について書いたことがあったのですが、それをより確信をつく言葉で、一言で鮮やかにFORKに教えてもらえた気がします。

バトル中でも触れられているFORKの歴史的名勝負【FORK vs HIDADY】。今回のこのバトルは、その名バトルにも負けず劣らず、ヘッズ達の心に残るバトルとなったのではないでしょうか。そして、そのような良いバトルが地上波で放送され多くの人に観られたということに、とても感動してしまいます。

Twitter上で、「年内にはICE BAHNで何らかのリリースがある」と宣言していたFORK。フリースタイルダンジョンを経て、更なるプロップスを獲得したFORK、ICE BAHNの活動を、心より楽しみにしたいと思います。


最後に、本日3/11はFORKの誕生日です。37歳、本当におめでとうございます。

では、今回はこのへんで。







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4 Comments

名無し  

FORKさんのライムは渋いの一言に尽きると思いましたが、その後のFORKさんが残念でしたね。
よりによってTwitter上で、「バトルはあくまで売名」という発言をしていました。

NAIKAさんは真剣にやってるのに、あくまで売名なんて「俺が本気じゃないから」と言ってるのと一緒です。
それで勝ったら負けた側は手加減されたことになるし、負けたら単なる言い訳です。
感動した視聴者にもこの売名発言に気持ちが冷めた人がいると思います。

FORKさんに限らず、似たような発言をする人(呂布カルマさんとか)がいますが、
バトルで名を挙げたくせに売名なんておこがましいにも程があると思いましたね。
負けた時の言い訳にしか聞こえません。

2017/06/10 (Sat) 16:13 | EDIT | REPLY |   

Pto6(ぴーとろっく)  

Re: タイトルなし

> FORKさんのライムは渋いの一言に尽きると思いましたが、その後のFORKさんが残念でしたね。
> よりによってTwitter上で、「バトルはあくまで売名」という発言をしていました。
> NAIKAさんは真剣にやってるのに、あくまで売名なんて「俺が本気じゃないから」と言ってるのと一緒です。
> それで勝ったら負けた側は手加減されたことになるし、負けたら単なる言い訳です。
> 感動した視聴者にもこの売名発言に気持ちが冷めた人がいると思います。
> FORKさんに限らず、似たような発言をする人(呂布カルマさんとか)がいますが、
> バトルで名を挙げたくせに売名なんておこがましいにも程があると思いましたね。
> 負けた時の言い訳にしか聞こえません。


コメントありがとうございます。
FORKのそのTwitterでの発言は知りませんでしたが、「売名」というのは負けの言い訳というより、本心からでた発言ではないかと思います。彼に限らず、バトルは自身の名を売るための「売名手段」というのはMCにとっては、少なくとも昔からバトルに参加しているMCにとっては、誰もが当たり前のように思っていることだと思うからです。きっと対戦相手のNAIKAもそう思っている節がないわけではないと思います。

ただ、売名だからといって「本気でない」とは私は思いません。MCとして名を売るために、誰もが真剣にバトルに参加しているのだと思います。それこそ、前回のFORKがICE BHANでFSDで出場していた時に言っていたとおり、中途半端なことを言うと刺されたり、プロップスがガタ落ちしてしまう世界で戦ってきたのですから。それだけの覚悟をもってバトルに出ているのは今も昔も変わらないのではないかと思います。

ただおっしゃるとおり、今は昔とは違い、バトルがしたくてバトルに出場するというMCも多くなってきたのかもしれません。そういう方々にとっては、もしくは視聴者にとっては、確かに「売名」という発言は少し嫌な気持ちになるかもしれませんね。FORKにとっては「バトルは売名」という昔は誰にとっても常識だったことが変わってきているということに配慮しきれなかったのかなと思いました。(そういう私も、このコメントをもらったことでそのことに気づかされました・・・)

また、FORKは真剣にやっていたからこそ、もしかしたら、悔しさも溢れてそのような発言をしたのかもしれませんね。FORKもこれまでバトルシーンを築きあげてきた立役者的なMCのひとりですし、そこから受けた恩恵についても自身でしっかりと理解していると思いますので、そのシーンを軽んじる思いでなされた発言ではないのではないかと思います。どちらにせよ、私は今回のことについてはそのように解釈しています。もちろん個人的な解釈ではありますが^^

2017/06/18 (Sun) 10:17 | EDIT | REPLY |   

名無し  

管理人さんのコメントを見て、そういう見方もあるのだと思わされました。FORKさんのバトル自体は好きなので、これからはもっとFORKさんの立ち位置に立って考えてみようと思います。貴重な意見をありがとうございました。
新モンスターに決まったようで嬉しいのですが、個人的には「韻を踏む」という性質上ダンジョンで踏んだ韻は次に使いづらく、FORKさんのスタイルからすると連戦を求められるダンジョンは地獄なのではないかと複雑な気持ちで見ています。これから勝てなくなってしまうのではないかと心配です。

2017/08/16 (Wed) 20:22 | EDIT | REPLY |   

Pto6(ぴーとろっく)  

Re: タイトルなし

> 管理人さんのコメントを見て、そういう見方もあるのだと思わされました。FORKさんのバトル自体は好きなので、これからはもっとFORKさんの立ち位置に立って考えてみようと思います。貴重な意見をありがとうございました。
> 新モンスターに決まったようで嬉しいのですが、個人的には「韻を踏む」という性質上ダンジョンで踏んだ韻は次に使いづらく、FORKさんのスタイルからすると連戦を求められるダンジョンは地獄なのではないかと複雑な気持ちで見ています。これから勝てなくなってしまうのではないかと心配です。

コメントありがとうございます。
こちらこそ、自分にはない観点のご意見をいただきとても新鮮で勉強になりました。私の意見についてもひとつの考え方として受け入れていただきとてもありがたく思います^^確かに連戦の中、FORKがどれだけ唸るようなライムを出し続けるか見所ですよね^^でも本人のインタビューを読む限り、そこも含めて自身への“チャレンジ”として、モンスターの仕事を引き受けたような気概を私は感じました^^そういう意味で、私は彼の勇姿をとても楽しみにしています^^

2017/08/21 (Mon) 22:46 | EDIT | REPLY |   

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