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新作音源に小さく貢献⑳(HIKARI by JJJ)

どうもPto6(ぴーとろっく)です。

今回は、先日リリースされたJJJの2ndアルバム【HIKARI】について書きたいと思います。昨年は特にプロデューサーとしての活動で注目を集めていたJJJですが、本作では改めてHIPHOPアーティストとしての総合力の高さを見せてくれています。

それでは、本作を聴いた感想を書かせていただきたいと思います。

【HIKARI by JJJ】
JJJ 

<収録曲>
01. BABE feat. 鋼田テフロン (Prod by jjj)
02. ELA (Prod by jjj & ENDRUN)
03. EXP feat. KID FRESINO (Prod by jjj)
04. COWHOUSE feat. YOUNG JUJU (Prod by jjj)
05. HPN feat. 5LACK (Prod by jjj)
06. PLACE TO GO (Prod by jjj)
07. ORANGE feat. STICKY (Prod by STUTS)
08. DJANGO! (Prod by jjj)
09. COLD (Prod by jjj)
10. SOUL (Prod by Aru-2)
11. MIDNIGHT BLU feat. 仙人掌, Emi Meyer (Prod by jjj)
12. 2024 feat. Fla$hBackS (Prod by jjj)
13. DANCE SHOES (Prod by jjj)


JJJのラップを聴いていると、私はアイススケーターのイメージが頭に浮かびます。派手な回転技やジャンプを繰り出すというわけではありませんが、音に合わせ滑らかに、時にはエッジを効かせ的確にステップをいれながら悠々とリンクを滑るスケーターのイメージが、彼のラップを聴いていると頭に浮かんでくるのです。それほどまでに彼のラップは、音に自然と寄り添い、戯れているような印象を私に与えてくれます。

そして、彼はそんな風に自分が滑るリンクを、自らの手で作り上げることができるのです。時には広々とした滑らかなリンクを、時には猫の額ほどのザラついたリンクを、というように。楽曲によっては、歪な枠でリンクを囲んだり、敢えてリンク上に障害物を散りばめたりもしています。そんなふうにして彼は、探求心と遊び心を織り交ぜ、HIPHOPという音楽に貪欲に挑み、そして楽しんでいるように私には感じられるのです。

前作の1stアルバム【Yacht Club】の時点で、JJJのそんなスタンスは既に確立されていました。大胆なサンプリングを用いたこれまでの枠に囚われないトラックメイク。脱力感を漂わせながらも音の急所を外さない的確なラップ。そして、高い音楽センス表現することへの圧倒的モチベーション。それらは本作【HIKARI】にも変わらずに引き継がれています。

それに加え本作では、作品や楽曲に対するクオリティへの強い拘りを感じさせてくれます。トラックメイクにおいては、前衛性よりもシンプルで普遍的な強度を持たせることに重きが置かれ、アルバムとしての統一感を保つ上で、細部にまで工夫が施されているように感じます。いい意味で落ち着き、洗練された、大人の魅力溢れるJJJを本作からは感じることができるのです。

それでは、そんな素晴らしい本アルバムについて、いくつか楽曲単位でも感想を書いてみようと思います。とにかくアルバムとして素晴らしく、どれも秀逸な楽曲ばかりなのですが、ここでは特に私が印象に残った楽曲について書いていこうと思います。

◇◇◇◇◇

■BABE feat. 鋼田テフロン


本アルバムのリード曲。トラックだけで情景を鮮やかに描ききっており、イントロを聴いただけで、車内から覗くテールランプの瞬きや、都会における夜の喧噪が目の前に浮かんでくるようです。そんな雄弁なトラックの上で、リリックはあくまでストーリーを付随させているだけに過ぎません。音から得た鮮明なイメージがストーリーに誘われ、次々と情景を変化させていく。そんな他では味わえない新鮮な音楽(映像)体験をすることができます。そして1曲目にこの曲があることが、何度も繰り返しアルバムを聴いてしまうひとつの理由でもあります。アルバム全体に纏ったアーバンでゴージャスな雰囲気を牽引し、聴き手の心を鷲掴みする楽曲です。

■EXP feat. KID FRESINO

アルバム収録曲の中で、最も前衛的で挑戦的要素を感じられる楽曲です。前作でも多用されていた歪んだギターサウンドが印象的ですが、本人曰く、攻撃的なギターネタが見つかるとソロ用にキープしてしまうんだとか。変則的で、実に乗りこなしが難しそうなビートですが、そんなビートにこそ、楽しそうに生き生きと乗りこなしてみせるのがJJJとKID FRESINOですよね。彼らからは、目の前に荒波があればあるほど乗りこなしたいと漲るサーファーと同じような気質を感じます。そして実際、そういう曲でこそ彼らのラップは映えるんですよね。

■HPN feat. 5LACK

今作における客演曲は、全てJJJ自身のヴァースから始まります。インタビューでは「自分のヴァースをフリにして、オチを客演の人に付けてもらう」という形でヴァースを書いてもらったと言います。本楽曲においても、JJJからバトンを引き継いだ5LACKが、楽曲テーマである「人生に起きるハプニング」について味わい深い奥行きを与えています。リリックの内容、ラップのアプローチがストレートでシンプルな分、アルバムの中で最もテーマが掴みやすい楽曲となっています。それゆえに、すぐに耳に馴染みお気に入りになってしまいます。

■ORANGE feat. STICKY

全曲セルフプロデュースだった前作とは違い、今作ではJJJ本人のもの以外に、3人のプロデューサーからトラック提供を受けています。そのことについては、トラックを初めて聴いた時の初期衝動でリリックを書く楽曲が欲しかった、と語られていました。いずれの楽曲も、JJJが作り上げたアルバムの空気感に馴染みつつも、絶妙なアクセントをつくりだす楽曲ばかりなのですが、中でもSTUTSが提供したこの【ORANGE feat. STICKY】は、JJJとはまた異なる、まろやかな抒情性を具えた暖かいトラックになっており、他にはないエッセンスをアルバムに加えているように思います。

MIDNIGHT BLU feat. 仙人掌, Emi Meyer

本アルバムにおいて、完成後に最も達成感を感じた曲だとJJJが語っていた楽曲です。その言葉の通り、アルバム収録曲の中で最も多彩な音が重ねられたトラックで、その上に乗るラップや歌も絶妙なコラボレーションを発揮しています。Emi Meyerはフックの美しい歌声と、煌びやかなピアノの旋律を提供しています。彼女の存在があるだけで、なんともゴージャスな雰囲気が出ますよね。もう一人の客演である仙人掌も、相変わらずリリカルなラップで、楽曲が醸し出す哀愁に、より深い陰影を与えています。

■2024 feat. Fla$hBackS

ワルツ調の三拍子のテンポが印象的なトラック。完成した時あまりの手応えに、思わず最も信頼できる仲間、FebbKID FRESINOにトラックを送ったことから実現したという、Fla$hBackS名義のついた楽曲です。パーティソングであったFla$hBackSの楽曲【2014】の続き(ネクストパーティ)を意識したという本楽曲【2024】は、3人それぞれの個性が発揮された素晴らしい楽曲になっています。Febbにしか作れない特徴的なフック。FRESINOにしか出せない味のあるフロー。それがJJJのトラックの上で気持ちよさそうに踊っているのです。この楽曲を聴いてしまうと、Fla$hBackSの復活を願う気持ちを、抑えることなどできないですよね。

◇◇◇◇◇

さて、今回はJJJのニューアルバム【HIKARI】について書かせていただきました。とにかく聴けば聴くほどその魅力に酔ってしまうような、素晴らしい作品です。アルバムを通して聴いていると、いつまでもこの音楽世界に浸っていたいという気持ちになってしまいます。是非とも多くの人に聴いていただきたい作品です。

それでは、今回はこのへんで。








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