HIPHOPの必須トーク

日本語ラップ・MCバトルの“今”を語るブログ

現場の伝播②(Pete Rock & CL Smooth LIVE@WE WANT CIRCUS)

どうもPto6(ぴーとろっく)です。

今回は、先日3/20に開催された《WE WANT CIRCUS》というHIPHOPフェスティバルの現場レポート(という名のただの個人的感想)を書きたいと思います。

本イベントのヘッドライナーは、私にとっての憧れの存在Pete Rock & CL Smooth。いくら現場に不慣れな私としても、このイベントだけはどうしても見過ごすことができませんでした。そして、実際に行ってみるとお目当てのLIVEはもちろん、それ以外にも本当に多くの刺激をもらえた大満足の一日となりました。

今回はそんなイベントでの体験を振り返りながら、改めてその時感じたこと、感動したこと等について書かせていただきたいと思います。


WE WANT CIRCUS現場レポート

WE WANT CIRCUS 

<イベント情報>
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■日時:2017/3/20(祝日)
■場所:大阪 名村造船所跡地
■LIVE
 PETE ROCK & C.L.SMOOTH
 KID FRESINO
 TALL BLACK GUY
 茂千代
■DJ
 DJ AGEISHI
 DJ URATA
 DJ QUESTA
 ENDRUN
 CM SMOOTH
 VENIX
 IKKEI
 NiSSiE
 CH.0
 COTOCO
■DANCE SHOW CASE
 MIDDLE FILTER
 HEXBEX
 サカナウマゴン
 LOCA
 DONUTS&白ごはん
■B1(ブレイクダンスバトル)
 最強タッグ2017開幕戦
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まず、このイベント、会場がとても良いんです。大阪に5年いながらその存在すら知らなかったことが恥ずかしいのですが、私はこの名村造船所跡地というところに今回初めて行きました。文化遺産にも認定されている場所らしく、チケットを購入した後でいろいろと情報を調べていると、イベント抜きにして単なる観光としてもいつか行ってみたいなと感じてしまったくらいです。

名村造船所跡地 

この場所は最寄り駅から少し離れたところにあるのですが、当日は駅からでると、近くのコンビニ、そして会場へと至る道の途中で、多くのB-BOY、B-GIRLを見かけました。私はそんな彼らを目にするたびに、徐々に強くなってくる胸の高まりを感じました。耳元で鳴る、Pete Rock & CL Smoothのアルバム【main ingredient】の楽曲たちも、そんな興奮を気持ちよく煽ってくれました。

会場に入りまず耳に飛び込んできたのは、大音量で鳴るクラシックビート。そして、目に入ったのは、ダンサー達が輪を作り踊るオープンスペースでした。当日はとても穏やかな気候。開放的な空間で、大音量のビートと共に楽しそうに踊るダンサーたちを見ながら、今日この場所に来れたことへの喜びを私は感じました。

しばらくすると、B-1(ブレイクダンスバトル)のタッグ戦が始まりました。ダンスバトルを生で見るのは初めてだったので、私はとても興奮しました。ブレイクダンスを学生時代にしていた友人から以前聞いた話によると、ダンスバトルは単に凄い技を繰り出せば良いという単純なものでなく、ビートアプローチ(ドラムの音にステップを合わせる、音が抜けるところでピタッと止まる等)や、ビートへの理解をダンスに反映させること(例えば流れているビートの年代に合わせ、その当時主流となっていたダンススタイルを取り入れる等)が勝敗のカギを握るということでした。もちろんバトルなので、相手が繰り出すダンスへのアンサー挑発駆け引き等もポイントになるのだと思います。

ダンス 

そういう意味ではMCバトルと同じく、HIPHOPの楽曲に対する知識や、ダンス背景への理解がある人ほど楽しめる、奥深い魅力を持ったものだと言えますよね。実際に、ダンスに対する知識が全くない私は、会場の沸きどころについていけないということが何度かありました。しかし、それを抜きにしても、アクロバティックな大技や、お互いのダンスの駆け引きなど、わからないなりにも十分に楽しめる要素があって、全体を通してみればとても楽しく観ることができました。

そして、そんな熱狂している大勢のブレイクダンサーと観客達に囲まれながら改めて実感したのは、“ラップ”や“MC”というのはHIPHOPにおいては本当に一要素でしかないんだなぁということでした。MCバトルブームが起きている現在ですが、ブレイクダンスはその前からずっと市民権を獲得し、今やこれほどまでの盤石な支持を集めているわけです。改めてHIPHOPカルチャーの幅広さ、そしてまだ見ぬ世界の広大さを実感し、私は思わず身震いをしてしまいました。

そんな、興奮に包まれながら夢中になって観ていると、気が付けばLIVEが始まる時間になっていました。そこでそちらへと向かうべく、果たしてLIVE会場はどこだろうかと振り返ってみると、そこには大きな倉庫がありました。どうやらLIVEはその中で開催されるようでした。

LIVE会場 

こんな古い倉庫の中でどのようにLIVEをするんだろう。そう思って中に入ってみると、そこには広々とした近代的なライブ空間が広がっていました。そして、そこで鳴っている音の良さたるや。入った瞬間、私はすぐにこの会場を好きになってしまいました。私は学生時代、都内でバンド活動(軽音サークルですが・・・)をしていたのですが、「このライブハウス好きだ」と感じたのは、あの頃以来の感覚でした。その箱の空間、音の響き、PA、照明、そこにいる観客達によって作られる会場の空気感。ここで演るのはさぞかし気持ちが良いだろうな。こんないい箱でPete Rock & CL SmoothのLIVEが見られるのか。会場を見渡しながら、私は自分の期待感が更に高まっていくのを感じました。

LIVEは、大阪アンダーグラウンドを代表するMC茂千代から始まりました。地元ならではの熱狂的なファンも散見され、会場は徐々に熱を帯びていきます。私は彼の声が好きなのですが、生で聴くと音源以上の声のパワーを感じました。彼のLIVE後は、DANCE SHOW CASEやいくつかのDJプレイが行われました。そしてその後、この日私にとって二番目のお目当てであるKID FRESINOのLIVEが始まったのです。

フレシノLIVE 

DJにJJJを引き連れ、颯爽と登場したFRESINOのLIVEは、いきなり最新チューンの【Salve】から始まりました。会場は割れんばかりの大歓声。その後も、ソロの代表曲や、昨年大ヒットしたC.O.S.Aとのコラボ作【Somewhere】からの楽曲も繰り出し、会場はどんどんと盛り上がっていきました。途中、Campanellaと先ほどの茂千代が客演として招き入れられ、LIVEならではの贅沢なセッションが惜しげもなく繰り広げられていきました。ステージ上を踊るように動き回り、滑らかなラップを繰り出すFRESINOの圧巻のパフォーマンス。そんな彼に、誰もが釘付けとなっていました。

そして、ラストソングは私も大好きな楽曲【LOVE】でした。イントロが流れただけで、会場中に大歓声が響きました。残念ながらこの日C.O.S.A.はいない為、FRESINOパートのみでしたが、フック部分では会場が一体となった大合唱となり、最高の盛り上がりを見せました。私はこの日の彼のステージングをみていて、日本のシーンにもこんなにも素晴らしいニュヒーローが現れたんだなぁと改めてしみじみ実感し、とても嬉しい気持ちになりました。正直なところ、このLIVEが終わった時点で既に、私は大きな満足感を感じていました。

KID FRESINOのLIVEの後は、デトロイトのトラックメイカーTALL BLACK GUYによるDJプレイと、再度のDANCE SHOW CASEが行われました。その頃には、オープンスペースでのB-1が終わったということもあり、イベント中の観客がこのLIVE会場に集まってきていました。徐々に高まる熱気。彼らが待ち望んでいるのはもちろん、本日のヘッドライナー、あの方々の登場です。

そしてついに、その時がやってきたのです。

ピートロック&CLスムースLIVE 

私は冒頭から彼らに心を鷲掴みにされました。その佇まい、一つひとつの所作に至るまで、レジェンドアーティストにしか出し得ない強烈なオーラが放たれていたのです。中でもまず目を惹かれたのは、CL・スムースの圧巻のパフォーマンスでした。ラップはもちろん、そのステージングの細部に至るまで、「ラッパーたるやかくあるべし」とでも言うかのような圧倒的な存在感を放っていました。私が憧れている理想のラッパー像、その全てをCL・スムースが体現してくれているかのようでした。

そして、ピート・ロックもやはり凄かった。ラッパーの後ろでビートをかける1DJとしてではなく、自らもマイクを掴み、絶妙なタイミングでコール&レスポンスを会場に投げかけていきます。LIVE全体の一体感を作り上げていたのは間違いなく彼でした。時に音を止め、時に華麗に曲を繋ぎ合わせ、巧みに会場をコントロールしていました。DJとはこれほどまでにLIVEで存在感を発揮できるものなのか。私の抱いでいたDJに対する小さな固定概念が、音を立てて崩れていくのを感じました。曲間でのMCのほとんどを彼が担当し、マイクとターンテーブルを巧みに用いて、次曲への流れるような導入を作り上げていました。“ラッパー with DJ”ではなく、まさに“Pete Rock & CL Smooth”というにふさわしい、二人の偉大なるアーティストが両輪となり作りあげるLIVEが、そこにはありました。

怒涛の様な名曲の連投。【Return Of The Mecca】【Straighten It Out】【I Get Physical】【All The Places】【Take You There】【Searching】【I Got A Love】・・・。それもそのはず、そもそも彼らの楽曲には名曲しかないのです。なにをやっても会場は大盛り上がり必須でした。そしてLIVEの途中には、なんとピート・ロックとCL・スムースが立ち位置を入れ替わり、思いもよらなかったピート・ロックのラップパフォーマンスも拝むことができました。

ピートロックのラップ 

感動と興奮に包まれたなんとも幸福な時間。しかし、何にでも終わりはくるものです。LIVEの終盤、私は楽曲が終わるたびに何度も時計を確認してしまいました。まだ終わらないでください。もっと彼らと一緒に手を振り、大声で歌わせてください。しかし、そんな願いも叶うわけがなく、時計の針は無情にも進んでいきます。そして、終了予定時刻の5分前、その時は突然訪れました。楽曲が終わり、盛り上がる歓声の中でピート・ロックが会場に叫びました。「今夜はありがとう。またね。」

会場は大歓声。しかし、私は不意を突かれたかのような戸惑いを感じてしまいました。確かにLIVEは絶頂を迎え、クライマックスへと向けたムードがどんどんと仕上がっていました。でも、だってまだあの曲を聴かせてもらってないじゃないですか?そんな整理をつけきれない困惑状態の中、それでも精一杯の拍手をしながら、私はステージ裏へと戻っていく二人に歓声を浴びせ続けました。でも、まぁ満足したのは間違いない。これ以上を望むのは贅沢ってものだ。・・・でも・・・。

複雑な感情が心の中で渦巻いていたそんな矢先、ステージにイタズラ顔を浮かべたピート・ロックが突然戻ってきました。そして微笑みながら言うのです。「あれ、皆なんかまだ聴きたい曲があるんじゃないの?」と。その瞬間、私は彼らの仕掛けた演出に、まんまとハマっていたということに気が付きました。そして、それと同時に、大きな歓声を上げたのです。

本当の最後の曲、それはもちろん彼らの代表曲【They Reminisce Over You (T.R.O.Y.)】でした。この曲を象徴する、あの上モノのメロディをアカペラで口ずさみ始めたピート・ロック。当然、会場もそれに続きます。そしてあっという間に会場中は大合唱に包まれました。そのやり取りは何度か繰り返され、その後、絶妙のタイミングでターンテーブルが擦られると、楽曲のイントロが大音量で流れ始めました。間違いなくこの日最も大きい歓声が、会場中に轟いた瞬間でした。

【They Reminisce Over You】


そのような大盛況の中、LIVEは遂にフィナーレを迎えました。鳴りやまないトラックの上で、再度、会場にはあのメロディの大合唱が響きます。そんな中、CL・スムースはマイクを会場に向け、最後に深々と日本式のお辞儀をした後に、ステージ裏へと戻っていきました。「Thank you OSAKA!We love you!」ピート・ロックもその言葉を残し、スムースの後へと続きます。いつまでも鳴り止まない拍手と歓声。今自分は最高のものを観てしまった。おそらく会場にいた全ての人がそう思ったに違いありません。

帰り道、まだまだ興奮冷めやらぬ中、私はいつものようにイヤホンを耳につけました。しかし、流れてくるのは行きで聴いていたものと同じはずなのに、その音にはどこか味気なさを感じてしまいました。久しぶりにLIVEを観たのですが、やはり生は凄いですよね。この日私は、生でしか得られない感動と興奮があるということを、改めて実感させられました。このLIVEを超えるものはそうそうないのかもしれない。それでも、また誰かのLIVEに行ってみたいな。そんな思いを抱きながら、私は帰りの電車に揺られていました。目をつぶるとあの夢の様な光景が、すぐそこに浮かんでくるかのようでした。

LIVEピートロック&CLスムース 

さて今回は、3/20に参加したWE WANT CIRCUSというイベントについての感想を書かせていただきました。あれから一週間が経とうとしていますが、この記事を書いていて、また少し興奮が蘇ってきてしまいました。

また機会があれば、このようなHIPHOPイベントに今後も足を運んでみたいなと思います。そして、この奥深く魅力的なカルチャーに、もっともっとハマっていけたらいいなと強く思っています。

では、今回はこのへんで。







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