新作音源に小さく貢献㉗(KICK! by KICK THE CAN CREW)

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どうもPto6(ぴーとろっく)です。

今回は、先日ついに発売されたKICK THE CAN CREW復活のアルバム【KICK!】について書きたいと思います。待ちに待った待望のアルバムでしたが、その高い期待値を裏切らない素晴らしい内容となっています。

ちなみに、これから9月中旬にかけては豪華ラインナップの新作リリースが続くため、今回はその流れにおける新譜記事の第一弾となります。それでは、いってみましょう。

【KICK! by KICK THE CAN CREW】
kick! 

<収録曲>
01.全員集合
02.千% 
03.今もSing-along
04.SummerSpot
05.なんでもないDays
06.完全チェンジTHEワールド
07.また戻っておいで
08.また波を見てる
09.I Hope You Miss Me a Little
10.タコアゲ



インディーズでのデビュー作【タカオニ/カンケリ】の発売から20年。前作から14年ぶりとなる新作を引っさげて完全復活を果たしたKICK THE CAN CREW。その最新作は、“変わらないこと”“変わったこと”の塩梅が実に気持ちの良い、アップデートされたキックの魅力を十二分に堪能することができる作品になっています。

“変わらないこと”は、息の合った掛け合い・声の重なりが生みだすキックならではの破壊力。そしてクルー作品だからこそ取り入れられる“くだらなさ”や“面白さ”が残された遊び心溢れる軽快なリリック。そして、これまでHIPHOPとPOPの境界線を意識的に壊してきた彼らだからこそできる、幅広い層への訴求力を持たせた絶妙なる楽曲テイスト。3人で納得するまでとことん突き詰められ注がれたひとつひとつの楽曲への拘りと愛情。これらキックのもつ愛すべき特徴は14年ぶりとなる今作でも未だ健在で、当時を知る昔からのファン達にとっては嬉しい“変わらない”部分ではないかなと思います。

続いて“変わったこと”は“進化”と“変化”に分かれ、“進化”においては、3人それぞれの長いキャリア・経験から培われた楽曲制作におけるクリエイティブ力の向上と、更に豊富さを増した表現における技のバリエーションが挙げられます。次に“変化”においては、若手特有の刺々しさが無くなった代わりに漂わせるようになった大人の余裕と貫禄。かつてはスキルを競い合うようにラップを繰り出していた3人が、全体としての調和とバランスを重んじるようになったクルーとしての盤石なる安定感。そして、年齢を重ねたことにより自然と曲調や楽曲テイストへと反映されている嗜好の変遷が挙げられます。

これら“変わったこと”は、“進化”はもちろん“変化”についても、彼らと共に年齢を重ねてきたリスナーにとっては自然と受け入れやすいものばかりではないでしょうか。もっと言えば、それらの”変化”があるからこそ私たちは、若い頃キックに興奮したあの頃のように、大人になった今でも再び戻ってきた彼らに対して、同じような高揚感を抱くことができているのではないかと思います。

思い返してみれば、キック作品は聴いている自分の年齢が上がるにつれ好きなアルバムがどんどんと変化してきたように思います。メジャーアルバムに限って言えば、若い頃は【VITALIZER】が一番好きで、その後は【magic number】が好きな時期がありました。そして、大人になってから最も聴き返すようになったのは、以前ブログにも書いた通り【GOOD MUSIC】でした。そして、最新作【KICK!】を聴き終えた今私が感じていることは、おそらく今後において最も多く繰り返し聴いていくのがこの作品になるだろうなということです。それほどまでに今作は、現在の私の心と体に自然と入り込み、聴けば聴くほどに大好きになっていく作品でした。

関連記事【GOOD MUSIC by KICK THE CAN CREW】

10曲のみというその引き締まった構成からも作り手の意志を感じるように、今作は頭からお尻まで一切の贅肉がついていない隙無く調和のとれた素晴らしい作品です。そのため当然のように全曲聴き応えのある楽曲ばかりなのですが、ここではその中から特に私が好きになった楽曲達について、感想を書かせていただきたいと思います。

◇◇◇◇◇

■千%


以前本楽曲のMVが公開された際にも興奮の中記事を書いていましたが、改めてアルバムの流れの中で聴いてみても、本楽曲の持つ圧倒的な輝きの前には顔をほころばせてしまうばかりです。後述する【I Hope You Miss Me a Little】に続き、本アルバムの中では2番目に作られたとインタビューで語られていた本楽曲ですが、再結集していきなりこんな名曲となる2曲を立て続けに作り上げたという事実には、驚き以外の感想がありません。改めてなんて凄いクルーなのでしょうか。キック復活曲として、これまでに何度か地上波でも披露される機会を目にしましたが、そのたびに本楽曲のもつ普遍性のある魅力楽曲としての強度を再確認させられます。

関連記事【千% by KICK THE CAN CREW】


■SummerSpot

アルバム発売に先駆け先行配信されていた楽曲。海やフェスなど夏特有の映像が目に浮かんでくるような開放感あふれるサマーチューンです。本人たちによる楽曲解説では「テレビの尺にも対応できるとんでもない掛け合いの曲を作ろうぜ」というテーマで作られた楽曲だと語られていました。その言葉通り、3人が矢継ぎ早にバトンタッチしていき、最たるところでは一語ずつに入れ替わり文脈を繋いでいくマイクリレーが実に聴き応えがあります。カラオケでの完全再現が難しそうなのは当然として、本人たちにとってもLIVEで一切のもつれなく演りきるのは大変そうですよね。それゆえに掛け合いが終わった後のサビの開放感が気持ちよさそうです。是非ともLIVEで聴いてみたい楽曲です。


■なんでもないDays

ラテン調の旋律を弾くガットギターダンサブルなリズム感が癖になる楽曲です。シングルカットはおそらくされないであろう、いわゆる“なんでもない”アルバム曲なのですが、そういう楽曲のひとつひとつにも愛着をもたせてくれる、しっかりとした聴き応えとクオリティを具えさせているのもキックの好きなところです。遊び心に溢れた楽曲で、3人で連想ゲームのようにライムを繋げていくのが気持ちよく、そこで飛び出してくる単語たちや韻の踏み方が新鮮さに満ちています。そういう意味では、3人で談笑しながら楽しく製作している光景が目に浮かぶようで、聴いているこっちまで楽しい気持ちにさせてくれます。


■完全チェンジTHEワールド

ミドルテンポでピースフルなトラックの上に、押しつけがましくないメッセージが乗った、私的に大好きな要素が詰まっている楽曲です。「ポップだけど無理に上げにかかっていない」とKREVA自身がトラックの特徴を述べていた通り、キックらしさが発揮される絶妙なトラックだと思います。試行錯誤があり完成するまでに時間がかかったと語られていたサビ(彼らはキックの曲については“フック”ではなく必ず“サビ”と言うんですよね)がとても好きです。タイトルの通り三者三様の言葉で、“気の持ちようで世界は変えられる”というメッセージが歌われていますが、中でもテーマを決めたというKREVAのバースは、ウィットに富んだ表現を用いて巧みに私達の背中を押してくれます。【嘘と煩悩】の記事でも書いていましたが、“背中押し職人”っぷりはキックでも健在です。

関連記事【嘘と煩悩 by KREVA】


■I Hope You Miss Me a Little

本アルバムの中で一番最初に作ったという楽曲。つまりは14年ぶりの1発目がこの楽曲だったということで、その間における3人それぞれの想いがとてもよく反映されている楽曲のように思います。私はこのアルバムの中では【千%】と並び最も好きになった楽曲でした。キックの歴代曲の中でもトップレベルに好きな楽曲かもしれません。“少しは寂しがってよ”とさりげなく漂わせる哀愁大人を深めた彼らだからこそできるようになった新しい表現方法ですよね。何年ぶりの再結成だからって浮かれているのは周りだけで、彼ら3人は地に足を付け、力を入れすぎずに好きなことを純粋に追及しているだけ。そんな風に自分たちのペースを失っていない彼ららしいスタンスを感じさせられる楽曲です。

◇◇◇◇◇

今回触れなかった残りの5曲についても、もちろん聴き応えのある曲ばかりです。賑やかに開会宣言を告げる【全員集合】では3人それぞれがスキルフルなラップを披露しています。そしてスロウテンポでバラード調な3曲【今もSing-along】【また戻っておいで】【また波を見てる】は、最近のKREVAソロ楽曲にも通じる空気感を纏った楽曲たちです。ソロアルバム【嘘と煩悩】の楽曲と同時期に作られたと語られていた通り、そちらに収録されていてもおかしくないテイストの楽曲だなぁと感じました。またファン泣かせなタイトルが付けられたラスト曲【タコアゲ】は、【カンケリ】【タカオニ】からの流れを継いだ素晴らしい楽曲で、KREVAとLITTLEに“推し曲”として挙げられていました。ユルさの中に漂う余裕感と、「あ、ただいま」というユルい戻り方が実に今の彼ららしいなと思います。

とにかく聴けば聴くほど大好きになっていく、そんな素晴らしいアルバムです。私は今後彼らの次の新作が出るまで何年でも愛聴していきたいなと思っています。KICK THE CAN CREWは、これから武道館での復活祭全国ツアーも控えていますので、彼らの更なる活躍とシーンの盛り上がりにも引き続き期待したいですよね。私も出来ればツアーの方には参戦したいと思っていますので、LIVEで見るのが今から楽しみでなりません。

それでは、今回はこのへんで。
ちなみに、次回も来週発売となる新譜について書かせてもらう予定です。





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