Pto6(ぴーとろっく)

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どうもPto6(ぴーとろっく)です。

お久しぶりです。約2か月ぶりのブログ更新になります。プライベートにおける“しっかりと腰を据えて取り組まねばいけない事柄”が無事終わりましたので、この記事をもって本ブログの更新を再開させてもらいます。

今回は文章を書くというリハビリも兼ねて、ある人の文章をご紹介する記事を書かせていただきたいと思います。私が“HIPHOPとは”というような、ネット上での議論や定義付けを目にするたびに、ふと思い出してしまう文章です。

その“ある人”とは、私の大好きな作家である村上春樹です。彼が愛するジャズについて書かれたエッセイでの書き出しなのですが、そこで書かれている“ジャズ”という部分を“HIPHOP”に置き換えて読むと、私が日頃HIPHOP(ここではあくまで音楽としての)について感じていることと絶妙にリンクしてきます。是非、そのように置き換えながら下記の文章を読んでみてください。


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“ときどき若い人から「ジャズってどういう音楽ですか?」という質問を受けることがある。

でもそういう風に唐突に、まるでコンクリート壁にゴム粘土をぶっつけるような訊き方をされても、こちらとしてはなんとも答えようがなくて、ただ空しく首をひねるしかない。

これはたとえば「純文学ってどういう文学ですか?」というような質問と同じで、そこには「これはこうです」とひとことで切り取れるような、すっきりとして具体的な定義というものが存在しないからだ。

しかしたとえ定義はなくても、ある程度ジャズを聴き込んだ人なら、少しその音楽を耳にするだけで「ああ、これはジャズだ」「いや、これはジャズじゃない」と即座に判断することができる。それはあくまで経験的・実際的なものであって、「ジャズとは何か」という判断基準をいちいち物差しのように適用してものを考えているわけではない。

誰がなんといおうと、ジャズにはジャズ固有の匂いがあり、固有の響きがあり、固有の手触りがある。ジャズであるものとジャズでないものとを比べれば、匂いが違うし、響きが違うし、手触りが違うし、そしてそれらのもたらす心の震え方が違う。

どう違うかというのは、その違いを実際に経験しないことにはわからないし、経験していない人にそれを言語で伝えるのはまさに至難の業である。”
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村上春樹「ビリー・ホリデイの話」より


ひとことではうまく定義付けできない曖昧なニュアンスと、それでも確信している他のものとの絶対的な違い。私がHIPHOPに対して抱いている曖昧性確信性を、実に上手く表現してくれています。

ここで書かれているように、私はいつも自分と同じようにHIPHOPを愛する人達に対して、知る人ぞ知る素敵な秘密を共有し合っているかのような妙な親近感や、馴れ馴れしいまでの仲間意識を勝手に抱いています。

明確な定義はなくても、好きな人達の間にはしっかりとした共通認識が存在していると私は思うのです。確かに、それを言葉にする上での表現上の細かい違いや、それをどこまで含むかという範囲付けにおいては、多少なりとも差異はあるでしょう。しかし、中心の核となる部分については、皆同じものを共有できているのではないでしょうか。

さて最後にもう一つ、先ほどの文章といつもセットで思い出してしまう文章についても、ついでにご紹介したいと思います。これは特定のジャンルというよりも、音楽全般について書かれた文章です。


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僕にとって音楽というものの最大の素晴らしさとは何か?

それは、いいものと悪いものの差がはっきりとわかる、というところじゃないかな。

大きな差もわかるし、中くらいの差もわかるし、場合によってはものすごい微妙な小さな差も識別できる。もちろんそれは自分にとってのいいもの、悪いもの、ということであって、ただの個人的な基準に過ぎないわけだけど、その差がわかるのとわからないのとでは、人生の質みたいなのは大きく違ってきますよね。

価値判断の絶え間ない堆積が僕らの人生をつくっていく。それは人によって絵画であったり、ワインであったり、料理であったりするわけだけど、僕の場合は音楽です。

それだけに本当にいい音楽に巡り合ったときの喜びというのは、文句なく素晴らしいです。

極端な話、生きててよかったなあと思います。
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村上春樹「余白のある音楽は聴き飽きない」より


HIPHOPを語るときに私の語ること


・HIPHOPには他では替えのきかない独自の素晴らしさがある。
・素晴らしい音楽に出会うたびに生きている喜びを感じる。

私がHIPHOPについて語るときに語ることは、突き詰めればこの2つ以外にはありません。

そもそも私はHIPHOPに対するそのような想いを誰かと共有したくて、このブログを書き始め、TwitterでHIPHOP好きの方々と繋がりを持ち始めました。今後もHIPHOPと末永く親しみ、その喜びを誰かと分かち合えるのなら、それ以上に幸せなことはありません。これからもこのブログを通して、自分の好きなことについて書き続けていければなと思っています。

それでは、これからもよろしくお願いいたします。今回はこのへんで。






~余談~
今回のタイトルは、私の大好きな小説家レイモンド カーヴァーの代表作【愛について語るときに我々の語ること】から拝借しました。ちなみに村上春樹も【走ることについて語るときに僕の語ること】というエッセイも書かれています。HIPHOPと同じくらいに私が大好きなのが文学です。日本作家としては村上春樹、海外作家としてはポール・オースターを敬愛しています。両名とも“音楽的な文体”に特徴があり、旋律を奏でるようなリズムある流暢な文章で私を病みつきにさせてくれます。
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最終更新日2017-11-14
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