Pto6(ぴーとろっく)

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どうもPto6(ぴーとろっく)です。

今回は、ブログ休業期間中に発売された作品について、遅ればせながら感想を書きたいと思います。取り上げる作品は、先月発売されたLIBROの20周年記念アルバム【祝祭の和音】です。

本ブログでLIBRO関連の作品を扱うのは、ここ2年間で実に4回目となります。再始動して以来、LIBROの制作意欲は未だ留まるところを知らないようですね。今作も実に彼らしい纏まりのある素晴らしい作品になっています。

それでは、本作についての感想を書いていきたいと思います。

【祝祭の和音 by LIBRO】
祝祭の和音 

<収録曲>
1. 雨降りの月曜 - DJ BAKU REMIX
2. MIND TUNER - REMIX
3. リアルスクリーン
4. 音速の詩人達 feat. 小林勝行
5. マイクロフォンコントローラー feat. 漢 a.k.a. GAMI, MEGA-G - REMIX
6. 熱病 feat. 5lack - REMIX
7. 1997-2000 - DJ BAKU SCRATCH MIX
8. オンリ-NO.1アンダーグラウンド feat. 漢 a.k.a. GAMI - REMIX
9. 言葉の強度がラッパーの貨幣
10. 拓く(人+言) - REMIX
11. 流れ星 feat. 鬼
12. 重宝の縁取り feat. 小林勝行
13. 三昧 - REMIX


LIBROの音楽を聴いていると、私は背筋が伸びる気持ちになります。感情のパズルがパチパチと綺麗にはまっていくような、もっと直観的なイメージで言うと、気の抜けた炭酸に再びガスが注入されて、蓋を開けたばかりのシュワシュワ状態に戻るような、そんな心持ちにさせられるのです。

そのような効用を聴き手にもたらすもの。それはまさに、本アルバム収録曲で彼が“ラッパーの貨幣”だと提言している“言葉の強度”によるものだと私は感じています。

“ラッパーが何かを得るために差し出すことのできる普遍的な価値”、それが“言葉の強度”だという定義には私も全面的に賛同します。その時々のトレンドにより価値が変動し得る要素を孕むフローやビートアプローチと比べ、“言葉の強度”はいつの時代においても一定の普遍性を保持できる価値だと私は感じているからです。

またここでいう“言葉の強度”には、2つの側面があると思っています。

1つ目は、額面通りの意味で“言葉自体がもつ強度”という側面です。格言的で心に刺さるパンチライン。計算された見事なリリック構成。感情を揺さぶるリリカルな詞・・・。ひとつひとつの言葉の選択と組み合わせ、それにより生まれる心地よい化学反応と、そこに立ち上がる深淵なる意味世界。それこそが“言葉自体”が私たちに及ぼす力であり、その力の強さこそ“言葉の強度”における一つの側面だと考えています。

2つ目は、その人が放つからこそ言葉に生まれる強度という側面です。これまでの生き方、歩んできた道、バックグランド、人としての軸足の置き方、ラッパーとしての芯の通り方・・・。それらラッパーを形成する背景や人格により、言葉に纏わせることができる力のことです。例えば、浮気を繰り返すミュージシャンが一途なラブソングを歌ったところで、その言葉は誰の心にも響かないですよね。そのラッパーが放つからこそ言葉に纏わせることができる強度。それも“言葉の強度”におけるもう一つの側面だと私は思います。

そういう意味でいうと、LIBROはまさに2つの側面における“言葉の強度”を持ち合わせたラッパーですよね。彼が紡ぐ言葉自体の強度については、本アルバムに収録されている【DJ BAKU SCRATCH MIX】を聴いてもらうだけでもわかると思います。過去の名曲たちから切り出された“リリックサンプル”という単発の矢でも、心に深く突き刺さってくるだけの“言葉の強度”を有しているのです。

また彼が、言葉に強度をもたらすだけのバックグランドを持っていることは、本アルバムのリード曲でもある【リアルスクリーン】を聴けば多くの人に理解されるはずです。そしてなにより、この20周年記念アルバムが発売できているという事実が、ラッパーとしてアーティストとして、彼がその資質をもっているということの疑いなき証明になるのではないでしょうか。

【リアルスクリーン by LIBRO】


本アルバムは、記念盤に相応しく過去の代表曲DJ MIX、新曲が気持ち良い塩梅で繋ぎ合わされた構成になっています。

過去の代表曲については、全てのトラックがリミックスされており、そのほとんどがLIBRO自身によるセルフリミックスです。そのどれもが、ボーナストラックではなく本編に収録されるに相応しい完成度の高いリミックスとなっており、大好きな名曲たちがフレッシュに生まれ変わっています。そして聴き慣れたものではない別のトラックで改めて聴くことにより、その上に乗るリリックや楽曲自体の素晴らしさを再確認することができます。

そんな楽曲たちの中で、唯一DJ BAKUによりリミックスされた楽曲【雨降りの月曜】は特に秀逸です。クラシックと化している原曲の良さはそのままに、今の時代に鳴らすべきクリアな音像と豊かな彩りを添え、名曲に新たな息吹を与えています。

そんなDJ BAKUによるSCRATCH MIX【1997-2000】は約14分にも及ぶ大作です。タイトルのとおり、デビューした1997年から2000年という最初期におけるLIBROの楽曲たちを見事に繋ぎ合わせ、聴き応えあるDJミックスとして演奏しています。アルバム中盤に配置されているため流れの中で聴くのはもちろんですが、アルバムと切り離して単体で聴いてみても実に楽しめる充実した内容になっています。

そして新曲たちについても、名だたる過去の名曲達に並んでも勝るとも劣らない素晴らしいクオリティのものばかりです。前述したソロ楽曲の2曲【リアルスクリーン】【言葉の強度がラッパーの貨幣】はもちろん、小林勝行という過去作品で親交のあった相性の良い二人を客演に招いた楽曲たち【音速の詩人達】【流れ星】【重宝の縁取り】も出色の出来栄えです。中でも、鬼による【流れ星】については、近代におけるクラシック曲としてシーンに認知される日も近いのではないでしょうか。

この客演2人も紛いなき“言葉の強度”を持つラッパーですよね。それぞれがお互いの言葉に感化され、競うように同調するように繰り出されている言葉たち。そこに生み出される相乗効果は実に味わい深く、興趣が尽きることがありません。

上記のように、あらゆる形でLIBROの“過去と現在”を堪能できる、そんな贅沢なアルバムが本作です。アーティストとして活動20周年という偉業を“祝祭”するに相応しい、艶やかなる“和音”に包まれた愛すべき作品です。あなたもこの祭りに足を踏み入れてみては如何でしょうか。

【祝祭の和音 Trailer


さて、今回はブログ復帰の第一弾作品としてLIBROの【祝祭の和音】について感想を書かせていただきました。過去の名曲から新曲まで満遍なく堪能できるアルバムのため、LIBROを知る入門盤としても最適ではないかなと思います。興味のある方は是非手に取ってみて下さい。

またこのアルバムの他にも、ブログを休んでいた2か月の間に発売された作品で記事に書きたいものは多数あるので、それらについても折をみて書いていければと思っています。今から書くのが楽しみです。

それでは、今回はこのへんで。



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最終更新日2017-11-18
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