Pto6(ぴーとろっく)

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どうもPto6(ぴーとろっく)です。

今回は、先日発売されたKOJOEの4年半ぶりのニューアルバム【here】について書きたいと思います。豪華リリースが続いた2017年を“HIPHOP豊作の年”と決定付けるに相応しい、そんな後世にも語り継がれるであろう見事な傑作アルバムとなっています。

それでは、本作を聴いた感想について書いていきたいと思います。

【here by KOJOE】
here.kojoe 

<収録曲>
01. KING SONG (Feat. Mayumi) / Prod by illmore
02. Smiles Davis (Feat. Dusty Husky & Campanella) / Prod by illmore
03. PenDrop (Feat. ISSUGI) Prod by Kojoe
04. Prodigy (Feat. OMSB, PETZ, YUKSTA-ILL, SOCKS, Miles Word, BES) / Prod by Kojoe
05. 80 Connections / Prod by BudaMunk
06. Memory Lane (Feat. DAIA) / Prod by illmore
07. Tokyo City Lights (Feat. Ace Hashimoto & 5lack) / Prod by Devin Morrison
08. Salud (Feat. MUD & Febb) / Prod by Kojoe
09. Road (Feat. Buppon) / Prod by illmore
10. Mayaku / Prod by illmore
11. Cross Color (Feat. Daichi Yamamoto) / Prod by fitz ambro$e
12. PPP / Prod by Dehab
13. to my unborn child / Prod by illmore
14. 3rd "I" / Prod by Olive Oil
15. BoSS RuN DeM (Feat. AKANE & Awich) / Prod by Kojoe
16. Day n Nite / Prod by SNKBUTNO
17. here / Prod by Aaron Choulai
18. Everything (Feat. RITTO) / Prod by Kojoe



スッゲー敷居低い歌唱法。このアルバムを聴いている最中、RHYMESTER宇多丸のそのリリックがふと頭に浮かびました。確かにラップの間口は広く、たとえ音痴の人であっても簡単に始められるものかもしれません。しかし、それはあくまでラップの“入口”の話です。“出口”への道は果てしなく遠く、選ばれた者たちが絶え間ぬ努力を積み重ねた上で、やっと進み続けることができるほど狭い道なんだということを、このアルバムを聴いて再確認することができました。ラップって、なんて高度な音楽なんだろう。それが聴き終えた後に感じた私の最初の感想でした。

次に感じたことは、この作品は一つひとつの曲単位ではなく、まずは一枚のアルバムとして語られるべき作品ではないか、ということでした。収録曲どれもに個性があり、総じてハイクオリティです。そのためそのうちの一つを取り出して語ったとしても、このアルバムの素晴らしさの一端は伝えることができるでしょう。しかしその前に、これだけ秀逸な楽曲群を、このボリュームこの濃度で、一切の隙をつくらずに一枚のアルバムにしたということ。そのことがまずは称賛されるべき事柄ではないかと私は思ったのです。そしてそれは、私がこの作品に対して最も感銘を受けたことでもありました。

そのように漠然と抱いた2つの想いは、その後公開された本作についてのKOJOEのインタビュー記事によって裏付けられることとなりました。まずはKOJOE自身、本作は音楽性の高い、音楽として純度の高いものを目指して製作されたということ。ヒップホップはまだまだ音楽として成熟しきっておらず、音楽好きの間では未だに舐められ、音楽としてさえ認められていない風潮にある。そんな現状を打破したいという強い想いも本作には込められていると言います。

“誰もが感動するようなヒップホップが作れれば、ヒップホップが音楽になる日も来るんじゃないかな。今でも音楽なんですけどね。でも、本当にヒップホップに興味がなくて、AKBとかにしか興味がないような奴が、感動するような曲を作れないとダメじゃないですか。”

もうひとつは、本作がもともとは5~6枚の作品として出すために製作されていた楽曲群を、後から思いなおして1枚のアルバムとして纏められた作品だったということです。どうりでリード曲となり得るエース級の楽曲が揃っているわけですよね。その途中での方向転換があったからこそ、これほどまでに高濃度でボリューミーな傑作アルバムが生まれたということです。もともとの作品では様々な名義でリリースする予定だったということなので、本作の客演陣が豊富でとても豪華なことにも納得ができますよね。

客演の豪華さという点でいうと、今年出たアルバムの中でもトップクラスだと思います。5lack、ISSUGI、BES、FEBB、OMSB、RITTO、Buppon、Awich・・・。シーンにおける大多数から支持を受けている“本物たち”が一堂に会しています。これだけ錚々たるラッパーを集められるという点だけをとってみても、KOJOEに寄せられているラッパー達からの信頼とリスペクトを計り知ることができますよね。そして、今回このような傑作アルバムに参加できたということは、それぞれのラッパー達のキャリアにおいても、ひとつの称号として輝き続けるのではないでしょうか。

【BoSS RuN DeM Feat. AKANE, Awich】


kojoe、illmore、Olive Oil等、豪華プロデューサー達により築き上げられる音世界。一つひとつの音色、音の配置と重なり、そして空白・・・。それらが精緻な計算に基づき編み上げられ、形と成るビート。様々なジャンルから良いとこ取りをして、ひとつの音楽にしてしまうHIPHOPってやっぱり最高だな、と改めて思わせてくれるそんな極上のビートが本アルバムには集結しています。

そしてその上に言葉を乗せるラッパー達。音へのはめ方、変化を生む乗り方、音と声で醸し出すハーモニー。それらを計算で、もしくは生まれ持った才覚によってナチュラルに実現させている天才ばかり。もちろん、フローだけじゃなくリリックにおいても同様です。その人にしか歌えない言葉が各々によって紡がれていきます。日本語/英語の混ぜ方、語り口、言葉選び。それだけでもその人の個性が如実に表れます。そこにプラスして本人の生き方や拘り、信念が乗ることによって、唯一無二のオリジナリティが生まれるのです。

この豪華メンバーの中でも、そのようなオリジナリティを私が特に強く感じさせられたのはISUGGIAwichでした。前者の素晴らしさについては、既にシーンにおいては周知の事実ですよね。そんなISUGGIがKOJOEによるシンプルで良質なトラックに言葉を乗せた楽曲【PenDrop】は、本アルバムにおける白眉のひとつです。また後者、今年出したアルバムにより瞬く間にシーンでの存在感を強めたAwichは、本作の中でも圧倒的な輝きを放っています。その刺々しい彼女の言葉に軽々しく触れようものなら、深く突き刺さりなかなか抜きとることができないでしょう。

また客演という意味では、総勢7名のラッパーによる最高のマイクリレー【Prodigy】も必聴です。今年急逝したProdigy(Mobb Deep)へのリスペクトと哀悼の意が込められており、彼の代表曲【Keep It Thoro】と同じネタ使いがされています。これだけ錚々たるメンバーによるマイクリレーが聴けるなんて、幸せ以外の何ものでもありませんよね。個性的なラッパーが揃っているので、聴いていて一切飽きがくることがありません。秀逸なループトラックに身体を揺らしながら言葉に耳を傾け、永遠に聴いていられるような気持にすらなってしまいます。

このように各曲の話をしだすと枚挙に暇がありませんが、とにかくこのアルバムは完璧主義者KOJOEが細部にまで拘りパッケージングした極上の作品になっています。その隙の無さ、拘りようは一聴しただけでも感じ取ることができると思いますので、是非とも気になる方は手に取っていただきたいと思います。最後に、人気シリーズ『オタク IN THE HOOD』のKOJOE回の動画をご紹介して終わりたいと思います。きっとこれを見ただけで、KOJOEのあらゆるものに対する拘りの強さを感じ取ることができるのではないでしょうか。

【オタク IN THA HOOD:KOJOE】


それでは、今回はこのへんで。




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最終更新日2017-12-04
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