Pto6の備忘録⑪(好きなフック集 Part.1)
2018.01.08 18:26 *Mon
Category:備忘録
どうもPto6(ぴーとろっく)です。
新年明けましておめでとうございます。2018年も相変わらず好きなことをマイペースに書いていきたいと思っています。今年も何卒よろしくお願いします。
さて、今回はそんな2018年の書き初めとして、新しい備忘録シリーズをスタートさせたいと思います。これまでも『好きなライム集』『好きなビート集』というものを書いてきましたが、今回はそれに続く新シリーズ『好きなフック集』になります。それではさっそくPrat.1いってみましょう。
好きなフック集Part.1
POPソングでいえば楽曲が一番盛り上がる“サビ”にあたるフックですが、ラップ曲においては、それ以外のパートが変化に富み聴き応えがある分、フックは単にヴァースとヴァースの“橋渡し役”を担っている楽曲も少なくありません。それゆえ私の場合カラオケで歌うときなどは、ヴァースで燃え尽きフックを休憩時間にしてしまうこともしばしばあるくらいです。
しかし、そんなラップ曲のフックにおいても、その他のヴァース以上に聴き応えがあるものもやはり数多く存在します。思わず一緒に歌ってしまうものや、身体が踊りだしてしまうもの、そのメッセージに心を揺さぶられてしまうもの等々・・・。この『好きなフック集』では、そのように私が大好きなフック達について自由に語らせていただきたいと思います。自身の備忘を兼ねた個人的所感ばかりが並ぶ記事になるかとは思いますが、その楽曲を聴き返す誰かのキッカケになれれば幸いです。
■2024 feat. Fla$hBackS
JJJ
まさにHIPHOP曲だからこそ生まれたと言えるであろう名フックです。フックを担当したFEBBの天才っぷりが遺憾なく発揮されていますよね。とにかくビートに対するオンとオフのバランスが絶妙で、心地よいテンポで寄り添い離れていくその様は、まるでDNA螺旋図のような調和のとれたイメージを頭の中に想起させてくれます。ワルツ調のビートゆえに、ビートとラップが手を取り華麗なるワルツを踊っているかのような印象も受けますよね。思わずフローの達人BESをも彷彿とさせる卓越したビートアプローチだと思います。またリリックにおいても、FEBBにしか歌えないであろうふてぶてしさと繊細さとを兼ね備えた内容が綴られており、このフックの味わい深さをより一層深めています。秀逸なビートとヴァースに花を添える、これ以上ないフックではないでしょうか。
■LIVIN'
SEEDA
メロディ・リリック共に、聴くたび心に沁みいってしまうフックです。楽曲を通して聴くと、この曲がフックを中心に構成されているということがわかりますよね。また、フックにおける“エジプトのピラミッド建てた頃から”という一節が特に印象的で、それが楽曲全体のイメージを牽引することで、古から引き継がれる壮大な歴史と神秘的な煌きが想起させられます。この“〇〇の頃から”という表現ひとつで、リリックに、そして楽曲全体に深みを生みだす手腕が実に見事だなと、私は聴くたび感嘆してしまいます。言葉を操る表現者SEEDAの力量をありありと感じ取ることができますよね。もちろんこのフックだけでなく、ここがピークになるよう穏やかなる盛り上がりを徐々に積み重ねていく、そこに至るまでのヴァース展開も見事です。
■Scenario (Film)
PUNPEE
あらゆる音楽好きをも一瞬で虜にしてしまうほど、甘美なメロディを奏でるPUNPEEの名フック。キャッチーさと奥ゆかしさを兼ね備えたこのフックは、ポップとヒップホップとの絶妙なる融合により生み出されています。そのドラマチックすぎるメロディに対する照れ隠しか、あるいはタイトルから鼻息を荒くするヒップホップヘッズ達への目配せをするかのように、フック後半に自然と挿入されたトライブ(A Tribe Called Quest)の名フレーズ。気障なギミックというにはあまりにも秀逸なその引用は、一聴したときに感じる僅かなアンバランスさが絶妙な引っ掛かりをつくり、単なる歌モノとは異なるヒップホップ特有の聴き応えを楽曲に与えています。そのような原曲を知らずとも楽しめる必然性を伴った引用も含め、彼にしかつくれない素晴らしいフックだと思います。
■EPISODE3 feat.kj
SBK(スケボーキング)
私が中学生の頃、繰り返し口ずさんでいたという思い出深いフックです。今でも楽曲の全バースを空で歌うことができますが、中でもこのフックは口にするたび、絶妙な韻の配置が生む心地よさを何度でも堪能することができます。当時メジャーシーンで旋風を巻き起こしていたDragon Ashのkjとスケボーキング。そんな彼らの人気コラボ第三弾であるこの曲は、アーティストとして脂の乗った両者の魅力が溢れている贅沢な楽曲に仕上がっています。ハードなラップ曲でありながら、メージャー層でも受け入れやすいキャッチーさを纏わせているところも、彼らの味付けセンスがあってこそなせる業ですよね。当時の私は、英語と日本語が織りなす固いライミングが生むその心地よい味わいにすっかり心酔しきっていました。今後も折に触れて聴き返していくだろう、一度ハマったら抜け出せない癖になるフックです。
■ザ・グレート・アマチュアリズム
RHYMESTER
こちらもフックを聴くたびテンションが上がってしまう楽曲です。8小節を1セットとして4小節毎の末尾で韻を踏んでいき、それが8小節×4本を通しても同じ韻で連なっているという、謂わばHIPHOP曲のお手本ともいえるようなフックなのですが、それを“アマチュアリズム”と題して歌うのが実にRHYMESTERらしいなと感じます。フック以外のリリックで歌われているマインドも含め、今後も“日本語ラップの教科書”として語り継がれていって欲しい楽曲です。その形式的なライム配置が生み出すひとつの利点でもある、シンプルがゆえに乗りやすい構造はまさにフックにうってつけですよね。LIVEでも会場一体となり音楽に乗ることができるでしょう。また、それでいてビートやリズムに変化を与え、決して一辺倒にはしていない点も、このフックから学べる数ある“教え”のうちのひとつだと思います。
さて今回は、新シリーズ『好きなフック集』のPart.1を書かせてもらいました。まだまだ書ききれないほど好きなフックはありますので、また『ライム集』『ビート集』と同様、作品紹介の合間合間で箸休め的に記事としてまとめさせてもらえればと思います。
改めて今年もよろしくお願いいたします。それでは今回はこのへんで。
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