Pto6(ぴーとろっく)

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どうもPto6(ぴーとろっく)です。 

今回はICE BAHNの3rdアルバム【Loose Blues】について書きたいと思います。

ICE BAHNは私にとって、ライムの面白さを教えてくれたとても思い入れのあるクルーです。それゆえに、彼らのどのアルバムから語り始めるかについては、ブログを開設した頃から秘かに悩んでいたことでした。

しかし今回、私は意を決し、このアルバムについて書いてみたいと思います。FORKの地上波での活躍により、現在その知名度を急速に高めているICE BAHN。そんな彼らに最近興味をもちはじめた方々に向けて、是非ともおすすめしたいという想いを込めて、この作品について私なりの感想を書いてみたいと思います。 

【Loose Blues】
Loose Blues 


<収録曲>
1. INTRO
2. Code Name -OKAYAMA Remix-feat.YOWTH(KARASS CASTLE) track by DJ TA☆1
3. 戦場のリアリスト track by BEAT奉行
4. Banzai Attack track by ALI-KICK(ROMANCREW)
5. あまのじゃく track by BEAT奉行
6. 本音と建前 track by YOUICHI
7. Better Fumigator feat.Q(ラッパ我リヤ), ARK(走馬党) track by Yue Cue
8. The Future's Bright track by BEAT奉行
9. キテレツ track by DJ TA☆1
10. ポーカーフェイスfeat.TSUBOI(アルファ) track by DJ TATSUTA
11. HAPPY HAPPY track by Yue Cue
12. KIZUNA 13 track by YOUICHI
13. Loose Blues track by LR STEREO(Dr.Looper+ROCK-Tee)



言葉の面白さ。私はそれに魅了された人間のひとりです。巧みな比喩表現、的確な形容、思わず口に出したくなる語呂の良さ・・・。それら言葉のもつ魅力を味わいたくて、私は日々たくさんの言葉に意識的に触れるようにしています。そして、私がICE BAHNの音楽を愛好しているのも、そんな自分の欲求を満たしてくれるからに他なりません。

妥協許さぬライムへの拘りは、並の使い手の場合、リリックに制約を与える“足枷”にもなりかねません。しかしライム至上主義を掲げる彼らにとってみれば、それに当てはまることはありません。足枷どころか押韻がリリックにおける“関節”の役割を果たすことで、メッセージが勢いを持って動き出し、“音”の秩序の上で“意味”が縦横無尽に展開していくのです。

そんな押韻により深みを増したメッセージ性に加え、豊かなユーモアも彼らの魅力のひとつです。バチッと心に突き刺さるパンチラインから、クスッと笑いがこぼれるお茶目なラインまで。その塩梅こそが彼らの個性と言ってもいいのかもしれません。ダサくてカッコいいものを、真面目にふざけながら、真っ直ぐに曲がった生き方で。彼らが折りに触れては口にしてきたそんな大切な信条が、リリックの端々に表れているように思います。

ICE BAHNの作品は、これまでリリース毎に少しずつ変化してきました。初期作品では兎にも角にもライムの量にこそ拘っていた彼らも、作品とともにライムの“量”ではなく“質”へとその拘りの対象を移してきたのです。このことについては、フリースタイルダンジョンでのFORKの言及も記憶に新しいですよね。

“何個踏めるか 俺も昔はやってた だが今だから言える それは間違ってた”

そういう意味では、ICE BAHNはこの3rdアルバムで現在のスタイルへと繋がる基礎を作り上げた、という印象を私は持っています。相変わらず痛快なまでに固いライムも目立たせながら、一聴すると自然すぎて気がつかない部分にも細やかなライムを忍ばせ、それでいて自分の言いたいことは意味をぶらさずに表現する。そのように言葉で説明してみても難解そうな離れ業を、彼らは当たり前のように実演しているのです。

ここで参考までに、本アルバムの各収録曲から1つずつ私の好きなラインをご紹介したいと思います。固いライムを踏みながら格言としても味わえる内容。まさにこれぞパンチラインといえるものばかりではないでしょうか。

“2.5枚目の美学を熟知 ダサい言葉ほどライムは美しい”
 Code Name 【FORK】

“常に自らを正当化し リスクもリターンも依然度外視”
 戦場のリアリスト 【FORK】

“不屈のライマー Never Give Upが俺を創る土台だ”
 Banzai Attack 【KIT】

“自分の美意識 丸ごと聞かせるそれがB式”
 あまのじゃく 【KIT】

“ごく自然に疼く遺伝子 その日々は意味もなく記念日”
 本音と建前 【FORK】

“一言言っとくなら 韻の深さこそHIPHOPマナー”
 Better Fumigator 【KIT】

“ボヤけた構図は実現不可 要はその先で何を見つけるか”
 The Future's Bright 【FORK】

“忘れるなルーツを幾つもの不都合乗り越えた先で興奮の坩堝”
 キテレツ 【FORK】

“日々コツコツと地道に暮らす蟻より俺たちはキリギリス派”
 ポーカーフェイス 【TSUBOI】

“多少のほころび驚きが無いとこの世に生まれた喜びは無い”
 HAPPY HAPPY 【FORK】

“過去の日の あの時の 俺らのカラーは青と黄色”
 KIZUNA 13 【玉露】

“音楽的にどうこうじゃねぇが「ダサいがヤバい」が本望だぜ”
 Loose Blues 【FORK】

本作はとてもバラエティに富んでいる作品です。一聴するとアルバムとしての統一感がないのではと感じてしまうほど、扱うトピックと楽曲のテイストに振れ幅があるのです。しかしよくよく聴いていくと、その雑多なテーマを歌う楽曲たちが一筋のぶっとい芯によって貫かれているということに気がついてきます。そう、他でもないHIPHOPという芯が各曲のど真ん中を貫いているのです。

彼らはそのライミングを武器に、ICE BAHNという男達のあらゆる要素をひとつに繋ぎ合わせています。そんなまさに彼らのスタンスを体現するかのようなアルバム、それがこの【Loose Blues】なのです。“全てにおいてLoose・・・だが、HIPHOPにだけは大まじめな男達のBlues”というアルバムの公式キャッチコピーも、とても要を得ているように思います。

このアルバムはビートも実に多彩です。それもそのはず、トラックは8名のプロデューサーから提供されているのです。ちなみにこの
アルバムの頃のICE BAHNは、不動の3MC:玉露FORKKITと1DJ:DJ BOLZOIという体制でした。このアルバムの後BOLZOIはICE BAHNを脱退するのですが、その後釜としてメンバーに加入するBEAT奉行のトラックも、このアルバムには収録されています。

また客演も魅力的です。走馬党QARK、岡山レペゼンYOWTH、そしてICE BAHN5人目のメンバーという異名でもおなじみのTSUBOI。いずれのメンバーもライムという共通言語を用いて、ビート上でそれぞれの個性を発揮しています。

好きな楽曲を挙げればキリがありませんが、中でも【あまのじゃく】【キテレツ】【HAPPY HAPPY】といったミドルテンポのしみじみと聴かせる楽曲たちはどれも私のツボを外さずに突いてきます。またタイトル曲【Loose Blues】は、彼らの全楽曲の中でも上位に位置するほど私が好きな楽曲です。気持ちの良い余韻を後に残す、素晴らしいアルバムの締めくくり方ではないでしょうか。

【Loose Blues by ICE BAHN】

さて今回は、大好きなICE BAHNのアルバムについて書かせてもらいました。自分の感情を書き留めていく中で、やっぱり彼らは私にとって大切なクルーなんだな、と再確認できたように思います。

最新作の4thアルバム【RHYME GUARD】発売から早4年半が経ちました。シーンからの注目度が更に高まっている今、新たなる進化を遂げた彼らの作品が聴けるそのときを、私は今か今かと心待ちにしています。でもそれまでは、彼らがこれまで残してくれた軌跡を何度でも振り返り味わいながら、“Loose”でマイペースな男達を、のんびり気長に待ちたいと思っています。

それでは、今回はこのへんで。





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最終更新日2018-02-27
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