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日本の名盤・基本の定番⑥(ラッキー by 環ROY)

どうもPto6(ぴーとろっく)です。

今回は、本日私が聴いていたアルバムをご紹介します。<環ROY>の4thアルバム【ラッキー】です。

【ラッキー by 環ROY】
環

<収録曲>
01. ワンダフル [track:三浦康嗣(□□□)]
02. Kids [track:三浦康嗣(□□□)]
03. そうそうきょく [track:蓮沼執太]
04. 台風 [track:Himuro Yoshiteru]
05. Little thing [track:戸高賢史(ART-SCHOOL)]
06. VIEWER [track:Himuro Yoshiteru]
07. 電車 [track:ゴンドウトモヒコ]
08. いいやつ [track:ゴンドウトモヒコ]
09. date [track:ゴンドウトモヒコ]
10. 仲間 [track:蓮沼執太]
11. いまここ [track:三浦康嗣(□□□)]
12. YES [track:蓮沼執太]


このアルバムは「コテコテのヒップホップを聴き過ぎて少し味変えをしたい」と思った際についつい手が伸びる作品です。それもそのはず、収録曲のトラックメーカーは、普段ヒップホップから縁の遠い人ばかりなのです。特にポップユニット<□□□(クチロロ)>の三浦康嗣のトラックは通常のヒップホップトラックではあまり聴かない音が多数重ねられており、非常に新鮮でポップな出来となっています。

【ワンダフル [track:三浦康嗣(□□□)]】


ただ、そのサウンドのポップさとは裏腹に、アルバム全体からは「どこかもの寂しい哀愁」を感じられます。というのも、この作品はあの「3.11」で大きなショックを受けた環ROYが、震災以降初めて作ったアルバムなのです。

宮城県生まれの彼は震災以降全く作品が作れない時期があったそうです。しかし、再びペンをとり歌詞を書き、震災から感じた様々な感情を込めて、この作品を作り上げたそうです。しかし「できるだけ暗い感じにはしたくない」という彼の思いから、トラックはポップに、アルバムタイトルも明るいものになっています。

以前から環ROYは「日常生活の視点を中心に据えた普遍的な表現」を大事にするアーティストで、その点が他の日本ヒップホップアーティストとの差別化にもなっていました。この作品でも、その特徴は顕著に表れていて、語られる言葉は身の回りのものばかりです。

また、彼は常に「日本ヒップホップの枠を押し広げたい」という信念を口にしており、その為には「作詞家として高度になっていかなきゃいけない」ということを言っていました。それだけ歌詞に拘る彼の音楽には、誰が聴いても響く普遍的な言葉が使われているので、その解釈や受け取るメッセージはきっと人によって様々なものになっていると思います。

【そうそうきょく(LIVE.Ver)】


この曲はタイトル通り3.11で亡くなった人たちを悼む「葬送曲」です。震災後の人々の様子の描写から、肩の力の抜けた、でも力強いメッセージが胸に響きます。

“話ができなくても、ここからは聴こえるよ
だから話続けよう、聴こえてるでしょ
この先は、この先を見つめて”


彼は、自身の作品を「ヒップホップ」ではなく「ラップミュージック」と称します。しかし、その音楽の真ん中にはしっかりヒップホップがあると表現しています。ただただヒップホップが好きで、だからこそ、その文化の発展の為に、ヒップホップの多様性を推し進めることが必要と考えているのです。

彼はこの作品発売時のインタビューで「マイナーマジョリティ(マジョリティの中のマイノリティ)」の存在を目指したいということを言っており、自分なりのヒップホップを提案し続けたいと発言しています。そしてそのような多種多様なヒップホップミュージックが現れること、それこそが日本のヒップホップが独自の発展をすすめていく上での鍵だ、と彼は考えているようです。

さて、話は変わりますがこのアルバムに入っている【いいやつ】という曲では、<KEN THE 390>の人気曲【Lego!!Remix】で客演として参加したときのリリックがほとんどそのままで使われています。私は、自分のリリックをフルでそのままサンプリングした曲は初めて聴きました。笑

彼のラップは決してスマートなラップでもないし、テクニカルなスキルも使われていません。しかし、なぜか口ずさみたくなる魅力があります。【いいやつ】のリリックもそのひとつです。そんな不思議な魅力をもつラッパーは多くないため、客演の時ほど特に彼の個性が際立つと私は思っています。今後も色んなアーティストとコラボしてもらいたいです。

【Lego!! Remix by KEN THE 390,SKY-HI,KLOOZ,環ROY,TARO SOUL】


さて、今回は一風変わった魅力をもったラッパー環ROYの作品を紹介しました。たまにはこんなラップミュージックを聴いてみるのもどうでしょうか。さらにヒップホップの世界が広がるように感じます。

では、今回はこのへんで。 
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