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日本の名盤・基本の定番⑬(B級映画のように2 by 田我流)

どうもPto6(ぴーとろっく)です。

今回は2012年のベストアルバムとも言われる、その年の象徴的な作品をご紹介します。<田我流>の傑作2ndアルバム【B級映画のように2】です。

【B級映画のように2 by 田我流】
田我流

<収録曲>
01. Intro
02. B級Tour Final At 一宮町桃の里フルーツ公園
03. パニックゲーム
04. ハッピーライフ f/ QN, OMSB & MARIA of SIMI LAB
05. やべ~勢いですげー盛り上がる f/ stillichimiya
06. 決行のテーマ
07. ロンリー
08. Resurrection
09. 愛のテーマ
10. Straight outta 138 feat. ECD
11. Saudade feat. 今井瑠美子
12. あの鐘を鳴らすのは、、俺
13. 夜に唄えば

このアルバムは厳格な批評で「音楽ジャーナリズム」と称され、ある種の“権威”とされている月刊誌「ミュージックマガジン」において「ベストアルバム2012・ヒップホップ/ラップ(日本)部門」で1位を獲得した作品です。

“まるでサイヤ人 2倍で復活
1stは秀作 2ndでぶっ刺す!!”


アルバムの序盤曲【パニックゲーム】でもそう宣言されるように、これは田我流が自身のすべてを込めてリスナーに衝撃を食らわす為に作った作品です。

田我流は国際映画祭でグランプリを獲得した映画【サウダーヂ】で主演のラッパー役を務めたことで一躍名が売れます。

この2ndアルバムはそんな一世一代のチャンスの中、「ラップ一本で生きていく」覚悟を決め、それまで務めていた仕事も辞めた崖っ淵の状況の中作り上げた作品です。

構想期間三年をかけて製作した渾身の作品は、「どの曲も10回以上リリックを書き直した」そうです。完璧に計算され尽くした構成でなる本作は、まさに映画のような壮大な作品です。

しかし、聴く人によっては少しとっつきにくい作品になっているかもしれません。本作ではまさに映画のように感情の起伏が激しく移ろい、様々なテーマが訴えかけられるという点も、その理由のひとつでしょう。実も私も一聴した時点では、本作の良さが十分に理解できていませんでした。

しかし、少し時間が経つと不思議とまた手に取り聴いてしまうのです。咀嚼しきれなかった田我流のメッセージを完全に飲み込みたい欲に駆られ自然と手が伸びるのです。そして【Intro】でアルバムの物語に入り込むとラストのボーナス曲まで含め最後まで聴いてしまいます。そして何度か聴くうちに、一生手放せないほど自分にとって重要な意味をもつアルバムになっているのです。

とにかくアルバムとして流れで聴くことを強く推奨しますが、曲としてもいくつか紹介していきましょう。

【ハッピーライフ feat.QN, OMSB & MARIA of SIMI LAB】


冒頭のセリフパートからもわかるように、前曲【パニックゲーム】からシームレスに繋がっている曲です。【パニックゲーム】がまさに悪夢のような暴力的な曲だったのから一転、“現代の平凡でありふれた幸せ”を客演の2人と共に描いた楽曲となっています。皮肉やユーモア、社会への問題提起も含まれていますが、一曲通してピースな空気感に包まれています。

田我流がインタビューにおいて自身がいちばん意識していることは「普通であることのすごさ」であると以前語っていました。まさにこの曲は彼の「研ぎ澄まされた普通」が表れている楽曲だと思います。

また公式サイトにおける本アルバムの紹介文「混乱と不安の時代の中で"生きる"という事を追求し続け完成した壮大なスクリプト(台本)」というのにも一番マッチした曲だと私は感じました。

【Straight outta 138 feat. ECD】


この曲も前曲【愛のテーマ】と強く結びついている曲です。【愛のテーマ】では、経済産業省の官僚であり評論家でもある<中野剛志>の演説がサンプリングされています。以下はその一部抜粋です。

“「今年の言葉は“絆”です」というのを見た時
わたしは自分勝手で冷酷で愚かな日本人に
偽善ということまで加わったのかと感じました。
この一年間、震災の後の動きは
もうどう考えても(いまの)日本人が
根本的にダメだっていうことを証明しています”


上記のメッセージに呼応するかように、この【Straight outta 13】の曲では田我流が、怒りに満ちたバースを次々に吐き出しています。政治家、メディア、コメンテーター、芸能人、そして、国民ひとりひとりへも。

このアルバムの歌詞カード冒頭にある序文で、本作はすべて「3.11以降の日本について歌う」ということを宣言していますが、収録されている全ての曲の中でも、本楽曲がもっともストレートにそのテーマについて歌っている曲だと思います。

【あの鐘を鳴らすのは、、俺】


“HIPHOPにはやっぱ栄光が似合う”

田我流自身も「聴いたらたまに泣いてしまう」と語っていた楽曲。曲のテーマは希望です。「君にしかできないことがある、君にもあの鐘を鳴らせるんだ!」という田我流の強いメッセージが込められた曲です。

この曲はご存知<和田アキ子>の代表曲「あの鐘をならすのはあなた」が元ネタになっています。ちなみにその作詞は阿久悠によるもので、「混迷した時代をどう生きるか」という本楽曲とも共通となるテーマで書かれていたようです。

田我流は高校卒業後、ニューヨークへHIPHOPの武者修行のため留学しました。そして、そこでHIPHOP以外にも沢山な音楽に触れ様々な音楽の可能性を探求します。一時はサイケバンドでギターを担当したりもしたそうです。そして帰国後、幼なじみとクルー(stillichimiya)を組み、ソロでも活動を始め、脚光を浴びるまでの長い下積み時代を経て今に至ります。

まさに、夢を志し自ら行動し、努力を重ね、長い道を歩んできた田我流だからこそ歌える歌だと思います。そしてだからこそ「皆も夢や希望を持って欲しい」というメッセージが強く心を打つのだと思います。



このように作品が素晴らしい田我流ですが、ライブのクオリティが高いことでも有名です。私はまだ行ったことが無いのですが、毎回セットや会場により異なるパフォーマンスをするようで、何度行っても楽しめるのだそうです。一度行ってみたいと思っています。

【B級TOUR -日本編-FINAL by 田我流】


ちなみにこのアルバムのリリースパーティーではあの<THA BLUE HERB>が自ら前座を買ってでたことが話題になりました。同じローカル出身の“本物”のアーティストとして絆は深いようですね。

田我流といえば他にも、このブログでも以前紹介した<EVISBEATS>のアルバムに収録されている【ゆれる】が人気ですね。もし興味を持った方は合わせてチェックしてみて下さい。

【ゆれる feat.田我流】の紹介記事はこちら

では今回はこのへんで。



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