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この本読まなきゃ損②(街のものがたり―新世代ラッパーたちの証言―)

どうもPto6(ぴーとろっく)です。

今回は、本ブログで記事を書く際にも活用している書籍についてご紹介します。

【街のものがたり―新世代ラッパーたちの証言―】
街のものがたり

この本は、ヒップホップアーティスト9名に対して行われたインタビュー模様と、彼らのリリックについて紹介された本です。勢いのある新世代アーティストを中心にしながらも、今なお現役で活躍するRHYMESTERまで収録されており、それぞれ異なる境遇やキャリアから発せられる多種多様な証言が興味深く、一気に読了してしまいます。

<収録アーティスト>
OMSB
THE OTOGIBANASHI'S
PUNPEE
AKLO
MARIA
田我流
ERA
宇多丸 (RHYMESTER)
Mummy-D (RHYMESTER)

ちなみに本ブログではこれまで<AKLO>、<RHYMESTER>、<田我流>でこの本の内容について触れさせてもらっています。主に記事として取り上げたアルバムに関するインタビュー内容を紹介させてもらっています。この本を購入したのはこのブログを始めるずっと前なのですが、このブログを始めたことで今では何度も読み返しています。

【AKLO】についての記事はこちら

【RHYMESTER】についての記事はこちら

【田我流】についての記事はこちら

とにかく、著者でインタビュアーの<巻紗葉>による対談が素晴らしくて、どのラッパーに対してもとても深くまで証言を聞き出しています。

そしてインタビューで語られるストーリーの合間に挟まれるリリック紹介のタイミングが絶妙で、普段聴き慣れた曲であっても更によく聴こえ、これまで以上に好きになります。もちろん、それがまだ聴いたこと無い曲だったら、必ず聴いてみたくなること請け合いです。

どのラッパーも最後まで興味深く読めて、意外で知らなかった一面を知ることができたのですが、敢えて挙げるならば<AKLO>、<OMSB>、<MARIA>、<田我流>が私にとっては強く印象に残っています。

その中でも今回は、この本を読んだ音楽ライターでDJでもある<三田格>さんも「読了後、真っ先に音源が聴きたくなった」と語る<MARIA>の対談内容について少し紹介したいと思います。

MARIAは日本ヒップホップシーンにおいては稀少な女性ラッパーのひとりです。クオーターである彼女は、英語と日本語を操る自在なフローが特徴的で、本場仕込みのラップスキルは、まさに“本格派ラッパー”と呼ぶに相応しいと思います。最近では高校生RAP選手権でも審査員を務めていますね。

ではまず、本でも紹介されていた曲を1曲紹介しましょう。

【Helpless Hoe】


“笑える程醜いのは女子トイレん中”

タイトル(救いようのないアバズレ)通り、男性の知らない禁断の女子世界がテーマの楽曲です。本当にエグい表現がばんばんでてきます。

インタビューによると、この曲は「書くキッカケとなった女の子がいた」そうです。なんでもMARIAの周りの男性に近づきたいが為に、MARIAに擦り寄ってくる女子で「チョー嫌い」だったそうです。そんなこの曲はまさに女性ならではのボースト曲で、MARIAの特徴がよく表れた曲だと思います。

このような、謂わば「MARIAのイメージ通り」な曲やエピソードが紹介される一方で、彼女の意外な側面についてもこの本のインタビューでは語られています。

軍人でアメリカ・ドイツのハーフである父親と、日本人の母親の間に生まれたMARIAは、幼少期から米軍基地の中で育ち、学校では“外人扱い”をされ友達ができない寂しさを味わっていたそうです。

そんなふたつの文化のはざまで孤独を味わった彼女は、米軍基地の中でヒップホップと出会いました。小学校低学年のときには既にヒップホップにハマっていたそうです。

しかしそんな中、小学2年生の時に両親が離婚。その後父親に引き取られるものの、中学3年生の頃に父親が失踪し、捨てられてしまいます。

多感な時期に父親に捨てられるという想像に絶する境遇の中、MARIAは”後ろ指刺さしてきた大人たちに対し子供ながらに「見とけよ!」と思っていた”ということを語っています。こうやって、現在の“強いMARIA”が作られてきたのですね。

しかし、こんな経験をしてきた彼女ですが、本人は「“MARIAは人生の中でいろんな経験をしたから特別なんだ”みたいには思わないで欲しい」と語っています。そして「みんな地味な努力をして頑張った結果」と続けます。そして、自分の曲を聴く人たちに対しては「できるだけ間違った人生を送ってほしくない」という強い願いを語っていました。

こんなエピソードの他にも、MARIAの考える「愛の大切さ」の話や、「3.11以降の日本について」など読み応えのあるインタビューばかりです。きっと読んだ後、MARIAのことが大好きになってしまうと思います。



さて、他のアーティストについても、もっともっとご紹介したい内容はあるのですが、これ以上はネタバレになりすぎると思いますのでこのへんにしておきます。ご興味をもたれた方は是非手にとって読んでみてください。

今後もこのような本なども活用しながら、ヒップホップの紹介記事を書いていきたいと思います。引き続きご愛読いただけると幸いです。

では、今回はこのへんで。





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