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日本の名盤・基本の定番⑭(The Positive Gravity ~案とヒント~ by Soul Scream)

どうもPto6(ぴーとろっく)です。

今回は、日本が誇る数多くの名盤の中でも、個人的に大好きなアルバムを紹介します。<Soul Scream>の2ndアルバム【The Positive Gravity ~案とヒント~】です。

【The Positive Gravity ~案とヒント~ by Soul Scream】
SC

<収録曲>
1.Intro
2.魂の叫び
3.4つの魂
4.蜂と蝶
5.Hip Hop
6.うずく欲求
7.コンパス
8.7つの敵
9.7つの味方
10.初夢
11.心から心へ
12.続 自由街道
13.2018 - 今

文学的なリリックと絶妙なライムと言葉遊びのスキルから「文系B-BOY」と言われている<Soul Scream>。このアルバムでもアルバムを通して彼らの特徴が表れています。

このアルバムは発売された1999年において専門各誌で「年間ベストアルバム」に選出されました。実際に聴いてみるとそれだけ評価されたのも頷けると思います。一般的に“名盤”に求められると思われる以下5点を全て満たしているのですから。

①アルバムとしての高い完成度
②メッセージが込められた深いリリック
③高次元なラップスキル
④珠玉のトラック群
⑤クラシックといえる名曲の収録


では早速⑤より、このアルバムに収録されているクラシックな名曲からご紹介していきましょう。

【蜂と蝶】


“森羅万象 陰と陽 蜂と蝶のよう”

日本のヒップホップクラシックを語る上で、必ずといっていいほど言及される程の名曲中の名曲です。<DJ CELORY (Mr. BEATS)>による郷愁的で且つ図太い、まさに“蜂”の力強さと“蝶”の繊細さを表した傑作トラックが秀逸で、その上に自在なフローとライミングでラップを乗せる<HAB I SCREAM><E.G.G.MAN>の2MCが、これまた蜂のように攻撃的であり、蝶のように優雅なのです。

最近ではUMB2014において優勝者の<R-指定>がこのトラックの上で素晴らしいウイニングラップを披露したことが話題になりました。R指定も【蜂と蝶】は大好きな楽曲だそうで、原曲のリリックを随所でサンプリングした、本家へのリスペクトを感じるフリースタイルは大絶賛されました。

この曲を初めて聴いた時、「自分がラッパーになるとしたら、この曲のような曲を作りたい」と思ったことを覚えています。それほどまでに全ての面で文句のつけようのない完成された名曲だと思います。

【コンパス】


“軸は一つ回るサイクル 華麗な弧描くサークル”

【蜂と蝶】のような超名曲があると、得てしてその曲だけのワンマンアルバムになりがちなのですが、決してそうなっていないのがこのアルバムのスゴイところです。このアルバムには【蜂と蝶】にも負けずとも劣らない良曲が多く収録されているのです。

この【コンパス】もそんな曲のひとつです。「人としての重心を持つことの大切さ」をコンパスに例え歌っている曲になります。常に自分の軸を持って行動しようというポジティブな気持ちにしてくれる楽曲です。

この曲のようにメッセージ性のある曲が多いこのアルバムですが、所謂一般的な“メッセージソング”とは一線を画す点があります。それは“押し付けがましさ”や“説教臭さ”が無い点です。しっかりとしたメッセージがありながらも自己満足の演説にはなっていないのです。

これはアルバム「~案とヒント~」というところにも表れていて、「『こうした方がいいんじゃない?』というある意味“案”を出して、それがリスナーの“ヒント”に繋がればいい」という彼らの思慮深い想いが込められているのです。

【7つの敵・7つの味方】



“生から死 進む足 人は皆7つの敵に合う”

“生から死 進む足 人は皆7つの味方に救われる”


この2曲は対となる2曲です。手塚治虫の名作漫画「ブッダ」においてでてくる「7つの敵」を“案とヒント”に、彼らなりの解釈によって現代に置き換えられた曲が【7つの敵】、そしてその“敵”に対抗する救いである“味方”を新定義した曲が【7つの味方】となります。

人が生まれてから死ぬまでに出会うといわれる“敵”とそれに対抗する“味方”は、それぞれ以下の通りです。

【7つの敵】
1.病気
2.飢え
3.裏切り
4.しっと
5.欲
6.老衰
7.死

【7つの味方】
1.健康
2.冨み
3.友情
4.思いやり
5.希望
6.経験
7.誕生

興味深い内容となっています。是非、2曲セットで聴いてみて下さい。

kashi

このアルバムは、上に示したような歌詞カードを手に聴いていくと、まるでstrong>読書をしたかのように文学的欲求が満たされ、アルバムを全て聞き終わると爽快な読了感にも似た感覚が湧き上がります。文系B-BOYの名は伊達ではありませんね。

とてもオススメな作品です。是非彼らの音楽世界に浸ってみてください。

では、今回はこのへんで。



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