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珍しく海外クラシック④(Main Ingredient by Pete Rock & C.L. SMOOTH)

どうもPto6(ぴーとろっく)です。

今回は、私が最も崇拝するアーティスト<Pete Rock(ピート・ロック)>が属した伝説のグループ<Pete Rock & C.L. SMOOTH>の偉大なる作品について書きたいと思います。ちなみに私の“Pto6”という筆者名も、ご察しの通りこの“Pete Rock”から語呂を拝借してつけた名前でございます。

<Pete Rock & C.L. SMOOTH>はフルアルバムとしては2枚だけを発表し解散してしまったグループなのですが、その2枚とも素晴らしい出来故に、どちらもクラシック作品として語られています。今回はその中でも2枚目にしてグループ最後の作品【Main Ingredient】について書こうと思います。

それでは、いってみましょう。

【Main Ingredient by Pete Rock & C.L. SMOOTH】
Pete rock & C.L. SMOOTH

<収録曲>
1. In The House
2. Carmel City
3. I Get Physical
4. Sun Won't Come Out
5. I Got A Love
6. Escape
7. The Main Ingredient
8. Worldwide
9. All The Places
10. Tell Me
11. Take You There
12. Searching
13. Check It Out
14. In The Flesh
15. It's On You
16. Get On The Mic

「2枚ある彼らのフルアルバムの内、どちらが彼らの最高傑作か」という話題になると、ファンの間ではおそらく真っ二つに意見が分かれるところでしょう。1stアルバム【Mecca & The Soul Brother】新たな時代の幕を開いたという点と、彼らの一番の代表曲【They Reminisce Over You (T.R.O.Y.)】を収録しているという点が特筆すべき事項だと思います。シングルにも成り得る名曲たちが多く収録されていることも大きな特徴でしょう。

それに対して、今回紹介する2ndは“アルバムとしての完成度”を重視した作品といえると思います。もちろん1stより更に洗練された楽曲たちは珠玉の名曲ばかりですが、シングルというよりは、アルバムとして聴くことでその魅力が最大限引き出されるような奥ゆかしい魅力を持ち合わせています。

また、曲と曲をつなぐインストゥルメンタル(SKIT)達がこれまた絶妙で、曲単位で聴くことを許してくれない程にアルバム全体をスムーズに繋ぎあわせ、心地よい流れを作り出してくれています。そのことについてはPete Rock自身も「Main Ingredientはアルバムの完成度が高かった」と自賛する程で、彼らが解散したのも、これ以上の作品を二人でつくるモチベーションが保てなかったのではという憶測が当時飛び交っていたくらいです。

以上のようなことから、“アルバム単位で聴く”スタイルを好む私にとっては、この2ndアルバム【Main Ingredient】は1stに比べてもよく聴いています。そして、生涯聴き続け、墓まで持っていきたい程、大好きなアルバムです。

「普段ヒップホップを聴かない大人も聴ける音楽を作りたい」という想いから制作された本作は、その狙いに違わずメロウで心地よい楽曲が並び、それを聴く甘美な時間は老若男女誰もが楽しめるものだと思います。

アルバムとして聴くことを推奨していますが、曲単位としてもその魅力の一端は感じ取れると思います。名曲揃いのアルバムの中でも、特に私が好きな楽曲をいくつか紹介していきましょう。

【In The House】


この曲で始まるということが、このアルバムに何度も手を伸ばしてしまう理由のひとつとさえ思います。それほどまでに大好きな楽曲です。また、アルバム1曲目なのに冒頭にインストゥルメンタルが入っており、アルバム最終曲とうまく繋がる為、心地よい曲と曲の繋ぎから抜けられず、何度もアルバムをリピートで聴いてしまう原因ともなっています。

脱力した、まさにアットホームな雰囲気を醸し出す心地良いトラックは、休みの日の朝に無性に聴きたくなります。その上に乗る<C.L. SMOOTH>のラップも、まるでトラックの一部かのような一体感で楽曲の心地よさを後押ししています。ちなみに「In the house」というフックの声ネタは以前このブログでも紹介した<A Tribe Called Quest>のMC<Q-Tip>のものです。実にハマったネタ使いですね。

【A Tribe Called Quest】の記事はこちら

【I Get Physical】


次に紹介するこの曲は対照的に、思わず身体を揺らしてしまう程にノリノリな楽曲です。このように“質が高い”ということを共通項に、バリエーション豊富な楽曲を楽しめるのもこのアルバムの魅力です。

Pete Rockのトラックの特徴である“美しい旋律を奏でる上モノとファットなドラム”というのが良く表れた楽曲だと思います。前面的に主張する力強いドラムと、その後ろで微かに聞こえるギターの旋律。一見交わらない水と油のように思える両者ですが、シェフPete Rockにかかればそれらは絶妙に交じり合い、味わい深いトラックへと調理されてしまうのです。

トラックメイカーPete Rockの妙技を味わえる一曲だと思います。

【I Got A Love】


「ループにソウルを込める」というPete Rockの有名な名言がありますが、まさにその言葉を体現したようなトラックがこの楽曲です。ソウルグループ<THE AMBASSADORS>の名曲【AIN'T GOT THE LOVE】をサンプリングした本トラックは、メロウ&ソウルフルなトラックを特徴とするPete Rockの代表的な1曲だと思います。

改めて聴いてみるとPete Rockの作るトラックは、女性のコーラスとホーンの上モノとの相性が抜群にいいですよね。C.L. SMOOTHの上品なラップも相まって、本当に心地よく身体を揺らせる楽曲になっていると思います。この曲がかかっていた当時のクラブに足を運びたくなってしまう、そんな郷愁の念にすら駆られる魔力を持った楽曲です。

【Take You There】


上記の【I Got A Love】や【Searching】と並びシングル・カットされた楽曲です。こちらも女性のコーラスが印象的な楽曲です。全体的に単純なループ構成なのですが、ひとつひとつの音とバランスに気を配り緻密に作られたトラックだからこそ、飽きずに聴くことができます。

私は、アルバム冒頭の1曲目【In The House】から5曲目【I Got A Love】にかけての流れと、アルバム中盤の9曲目【All The Places】から12曲目【All The Places】にかけての流れがこのアルバムの中で特に好きな箇所です。その中でも特にこの楽曲【Take You There】を含む後者の流れは、メロウな空気感はそのままに、暖かく牧歌的な楽曲からクールで都会的な楽曲までスムースに連なり聴かせてくれるので思わず舌を巻いてしまいます。

この楽曲は、ソロとして聴いても光り輝く魅力を持っているのですが、アルバムの流れの中で聴くとまた別の輝きを発します。興味のある方は、この楽曲のソロとしてもつ魅力と、アルバムの中で放つ魅力を聴き比べてみてはいかがでしょうか。

Take You There

さて、今回は私にとって重要なアーティストであるPete Rockの作品についてご紹介しました。元々、有名曲をRimixしては原曲を超えるクオリティをたたき出す“Rimix職人”として名を売っていた彼だけあって、この当時からそのサンプリング・トラックセンスはずば抜けていました。

そして、現在でもそのセンスは衰えを知らず、ソロ名義となった今でも良質な作品を発表し続けています(今年の春にも【Petestrumentals2】を発表したばかりです)。リアルタイムで彼の珠玉のトラックを聴ける現状に改めて感謝すると共に、これからも長生きして多くのクラシックを残していただきたいと願っています。

では、今回はこのへんで。

関連記事【Pete Rock & CL Smooth LIVEレポート】

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