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新作音源に小さく貢献⑥(STRAIGHT by ACE)

どうもPto6(ぴーとろっく)です。

今回は、先日発売されたばかりのアルバムをご紹介します。戦極CAICA第3弾アーティスト<ACE>の1stフルアルバム【STRAIGHT】です。

【STRAIGHT by ACE】
ACE

<収録曲>
1. i say YES
2. アクションno.1
3. Music Run feat. SHUN
4. ストレート
5. skit 1
6. 朧月~三つ巴~ feat. R-指定, 輪入道
7. リバーフロー
8. How To feat. TOC
9. ラブラドール
10. アラーム
11. skit 2
12. Butterfly Effect feat. Gotch
13. HALO
14. light
15. vaivai

兎にも角にも、まずはこの楽曲を聴いていただきたい。アルバム発売に先行して発表された収録曲【HALO】です。このアルバムがどんな作品であるか、それを体現するような象徴的楽曲です。

【HALO】


イントロから鳴り響くバンド・サウンド。ACEが好きだと公言する<ASIAN KUNG-FU GENERATION>を彷彿とさせるようなギターロックサウンドの上に軽快なラップが乗せられています。本来のHIPHOPは“ループ”を基本とするトラック構成が主流となるのですが、この楽曲はROCKやPOPSと同様に「イントロ→Aメロ→Bメロ→サビ」とドラマチックな展開を見せます。

そして、なんといってもこの楽曲の注目はサビ(HOOKではなく意図的にサビと言わせてもらいます)部分です。完全に歌っています。Aメロ・Bメロでラップをして、サビでメロディを歌う、まさにこれはミクスチャーバンドがつくる楽曲の構成です。そして、これがまたメロディが良い。LIVEやフェスでは大合唱ができるのではと思う程のド直球でキャッチーなメロディラインです。

HIPHOPアーティストとしてこれまで活動してきて、そのシーンのファンを獲得してきたACE。捉え方に拠っては所謂“セルアウト”と揶揄されてしまうようなポップな楽曲を発表することは相当勇気のいることだったのではと想像してしまいます。それでも己の信念を貫き、自身の信じるミュージックを胸を張って発表したACE。音楽に真摯に向き合う彼の高い志が感じられます。私はその志に胸を打たれてアルバムを購入した一人です。

実は2年程前のUMB PodcastにおけるACE特集で、一度ACEの音源を聴いたことがあったのですが、その時にも彼の音楽的アプローチが他のUMB出場MC達と異なることに驚き、関心をもった記憶があります。ACEはインタビューの際などでも、憚らず「メジャーデビューしたい、有名になりたい」と語っていました。彼のそんな大きな野望の前では、“HIPHOPらしい”なんていうちっぽけな固定観念や枠組みなんてのはそもそも眼中にないのかもしれませんね。

そして、個人的にとても嬉しかったのが、この楽曲を発表した際に、ファンやHIPHOP関係者からこの曲に対する肯定的な意見が多かったことです。そのキャッチーなラップミュージックとしてのアプローチに「いい意味で裏切られた」と称える方が多く散見されました。この楽曲【HALO】が好きだと思われる方は安心してアルバム【STRAIGHT】を購入してもいいと思います。ジャンルに捕らわれない自由なミュージックの世界が、このアルバムには詰まっています。

それにしても、同じ戦極CAICAから今月頭に発売された<mol53>のアルバムと比べると、ガラッと雰囲気の違う作品ですね。mol53の作品は“無添加の王道HIPHOP”アルバムで、そちらも素晴らしい出来栄えでした。私の中ではmol53の作品は左脳に、そしてACEの作品は右脳に刺激をくれる作品です。戦極CAICAのレーベルとしての幅の広さを感じさせられますね。今後も大注目なレーベルです。

【REVIVAL by MOL53】の記事はこちら

この楽曲の他にも本当にバリエーション豊富な楽曲ばかりです。所謂HIPHOPトラックという楽曲は少なくバンドサウンドを用いた楽曲が多いのが大きな特徴となったアルバムだと思います。以前ACEはアニメのOP等で使われている楽曲が好きだとインタビューで語っていましたが、そんな彼の趣味嗜好がしっかりと反映されたアルバムとなっている印象です。

しかし、もちろん王道HIPHOPの楽曲もしっかり収録されています。現在のMCバトル界の最重要パーソンが集結した楽曲【朧月~三つ巴~ feat. R-指定, 輪入道】もそんな楽曲のひとつです。三者とも相変わらず高いスキルを見せていますし、バトルとはまた違った魅力も醸し出していて、バトルファンにはたまらない楽曲となっています。他にも<Hilcrhyme>のMC<TOC>による高速ラップが圧巻の【How To feat. TOC】も格好いいので是非聴いてみてください。

【朧月~三つ巴~ feat. R-指定, 輪入道】


そして、なんといってもこのアルバムにおいて最も注目したい楽曲が、<ASIAN KUNG-FU GENERATION>のボーカル<Gotch>がフューチャリングされた楽曲【Butterfly Effect feat. Gotch】です。これがまた期待を裏切らない素晴らしい出来栄えでした。

どちらかというと「ASIAN KUNG-FU GENERATION feat. ACE」と言ってもいいのではないかと思うほどの「アジカンワールド」が広がる楽曲です。やはりGotchはすごいアーティストですね。彼の魅力的な声と、情景と心情を鮮やかに切り取る歌詞が聴く者の心に響きます。個人的にはこのアルバムの中で【HALO】と同じくらい好きな楽曲です。音楽ファンには是非聴いてもらいたい1曲です。

[追記]Butterfly Effect feat GotchのPVが公開されました。


Gotchは以前、<MAJOR MUSIC>の東日本大震災のチャリティソング【H♡PE】にも、ラッパーやR&B歌手達に混ざって参加していたのが印象的でしたが、本当にHIPHOPやラップミュージックに理解・関心があるようですね。アジカンの文学的な歌詞とHIPHOPのリリックにも確かに通じるものを感じます。今後もいろいろなHIPHOPアーティストとのコラボを期待したいと思います。

【H♡PE All Cast ver by MAJOR MUSIC】


さて、今回はACEのファーストアルバムをご紹介しました。幅広い音楽性の詰まったアルバムなので、HIPHOPファンに限らず手にとってもらいたい作品です。

今後もACEには小さな枠に捕らわれずに、自由なアプローチで音楽を作っていって欲しいです。そしてHIPHOPシーンにも、これまでなかった新しい風を吹かせ、“他ジャンルからの注目”を引き連れてきてくれたらと期待しています。

では、今回はこのへんで。



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