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このDVDが良い雰囲気⑦(UMB2014 東京・大阪予選 REVENGE EAST・WEST)

どうもPto6(ぴーとろっく)です。

今回は、先日発売されたばかりのDVD【UMB 2014 東京・大阪予選 REVENGE EAST・WEST】について書きたいと思います。このDVDはUMB史上最高の大会とも言われている【UMB2014】の、「東京予選」、「大阪予選」、「REVENGE EAST」、「REVENGE WEST」の4つの予選における名バトルセレクト集です。

大阪東京

DVDの構成としては、とてもテンポの良いつくりになっており、各予選の決勝戦以外は、MCの登場シーンも、判定シーンもカットされ、ノンストップで名バトルが紹介されます。この構成の為、大会としてのドラマ要素・演出要素は少ないですが、一方でバトルを純粋に連続的に楽しめるという利点もあるので、このDVDのつくりについては観る人により賛否両論あるのではと思います。

ただ何にせよ、バトルはやはりレベルが高いものが多いので十分に楽しめる内容なのは間違いありません。そして、このDVDを観て真っ先に抱いた感想が、「“東京”と“大阪”でこんなにもバトル大会の雰囲気、勝ち負けの判断基準、MC達の戦い方が違うのか」という驚きです。

ちなみに、東京予選、REVENGE EASTの「東京編」と、大阪予選、REVENGE WESTの「大阪編」の間には、<R-指定>による「東京編」の解説と、<NAIKA MC>による「大阪編」の解説が収録されているのですが、そこでも二人の口から、東京と大阪の違いについて独自の見解で語られています。

そのような特徴をもつDVDの為、今回のこの記事でも「東京編」・「大阪編」に分けて、それぞれの特徴と、個人的に気になったバトルについてご紹介したいと思います。

東京予選・REVENGE EAST

【収録MC】
-東京予選-
イルオーガスト / 菊丸 / コマツ / 太尊 / タカナギ / ハハノシキュウ / フィリップ / ホロンバイム /ACE/BALA/BATTLE手裏剣 /BOZ/ GOLBY/KZ / INNTANA / MAKI DA SHIT / MC☆ニガリ a.k.a 赤い稲妻 / NAIKA MC / Rayzie-k / RYOTA / SIMON JAP / TKda 黒ぶち / Z.I.O-RAMA

-REVENGE EAST-
句潤 /コマツ / 田中光 / 掌幻 / 梵頭 / 松元 aka macchan / ゆうま / 我妥力-わたり- / ACE / BALA / BATTLE 手裏剣 / DEJI / DUB.O.G / ENEMY / GOLBY / HIDE / Kascade / Knic / KOWBEAT / LARGE IRON / MAKI DA SHIT / MC 正社員 / NAIKA MC / SHOW THE NO.1 / Rayzie-k / RYOTA / UZI

【東京会場の特徴】
R-指定曰く“お互い河原で殴りあって、その後大の字で寝転がる”感じだと表現された東京の2つの予選。たしかに大阪編と比較してみると、スキルの高さもさることながら、“内容重視”の傾向が強く、真っ向からの熱い言葉のぶつけあいのバトルが多い印象を受けました。

実力者同士によるシリアスな本気のバトルと、それ故に会場に漂う緊張感、そしてその中で繰り広げられるドラマチックな展開が、東京における予選の魅力ではないかと思います。

先週末に行われたUMB2015の東京予選でも、現場レポートを見る限りではその傾向は今年も継続している様子で、勝ち上がるためには“上手さ”より“強さ”が必要である印象を持ちます。現場に行った観客から毎度“濃い予選だった”という感想があがるほど満足感が高い内容になっているため、DVD化までされるのも納得ですね。

さて、そんな強者が勝ち上がる東京編の2つの予選大会「東京予選」、「REVENGE EAST」から、個人的に気になった試合をそれぞれご紹介しましょう。

【東京予選:NAIKE MC vs MC☆ニガリ】
nigari

“俺がこのUMBの最後の門番 お前を行かすわけにはいかねぇな!”

晋平太が東京予選は“少年ジャンプ感が強い”という表現をしていましたが、まさにそれを最も象徴する試合です。若き挑戦者<MC☆ニガリ>と、ラスボス<NAIKA MC>の構図が、まさに少年漫画のようなドラマチックな展開を際立たせています。

世代の異なる二人がそれぞれに背負うものをかけて戦うバトルは鳥肌モノです。おそらく観る人によって、NAIKA、ニガリどちらの目線で観るかによってそのドラマ性は大きく異ってくると思います。

私の場合は、最初NAIKAの目線で観ていて、決勝戦まで上り詰めた挑戦者ニガリに、大人の強さ、世の中の厳しさを最後の最後で見せつける展開を期待して観ていました。しかしバトル終盤では、あれほどまでに迫力のあるNAIKAに対して一歩も引かず、声を枯らしながら懸命に立ち向かうニガリの姿に心を奪われ、いつの間にか彼を応援している自分に気が付きました。もしかしたら、現場の観客たちの中にも、私と同じような心境の移ろいがあった人もいたのではないでしょうか。

とにかく、熱いこの試合は、まさに大会決勝戦にしてこの予選のベストバウトだと思います。何度見返しても感動的な試合です。

【REVENGE EAST:GOLBY vs LARGE IRON】
LARGE

“だったら坊や俺の墓穴掘ってみな てめぇの細腕じゃまず無理だ”

このDVDを通じて、最も印象に残ったMCのひとりである<LARGE IRON>の試合です。他のMCとは全く異なる空気感を纏っており、独特の存在感を放っています。「今バトルに出ているMCとは別次元で自分のスタイルを貫いている」とR-指定にも高い評価を受けていました。

この試合では、なんといってもGOLBYの「ここがあんたの墓場だ」という発言に対する上記の「墓穴掘ってみな」という秀逸な返しです。確かにこんなに巨大なLARGE IRONの墓穴は一朝一夕では掘れそうにありません。どこか一休さんの「屏風の虎を捕らえるので、まず屏風から虎を出して下さい」という話を彷彿とさせるようなトンチの効いたアンサーだと思います。

バトルの勝敗的には、GOLBYに軍配が上がりましたが、どちらが勝ってもおかしくない実力が拮抗したバトルでした。どちらにせよ、LARGE IRONはこのREVENGE EASTで最もインパクトを残したMCだったと思います。

大阪予選・REVENGE WEST

【収録MC】
-大阪予選-
カチ盛 / ガーリー / じょう / 大超 / ドイケン / 西 / ハジメ / ふぁんく / 歩歩 / マロン / りぼん / 諒太 / BIG MOOLA / DON-KEY BABY / GRL / KBD / KZ / MC あづき / MC 樹神 / MC ミステリオ / NAJIMI / nobu the star / Question / R-指定 / yuriMC / zIGGOLO

-REVENGE WEST-
ガーリー / 諒太 / じょう / 早雲 / 西 / 極楽道 / 視聴覚アルピニスト / ふぁんく / 歩歩 / マーダー / りぼん / BASE / BIG MOOLA / BRAVOO / CHICO CARLITO / JAKE / JIGGY / KBD / K-razy / MCfrog / NAGION

【大阪会場の特徴】
解説者の<NAIKA MC>も、東京予選と大阪予選の違いについて語っています。大阪はやはり“韻重視”の傾向が強いようですね。そして、東京のように熱い言葉での真正面からのぶつかり合いというよりは、“ユーモアを交えたテクニカルな口撃”が多く、誤解を恐れずにいうなれば、東京予選は“強さ”を競う格闘技で、大阪予選は“上手さ”を競う技能競技の傾向が強い印象を受けました。(もちろん、あくまで全体的な傾向で、MCによって異なります。)

観客も“カッコいいライン”に対して湧くというよりは、“上手くて面白い座布団一枚的言い回し”に湧く回数が多かった気がします。お笑い文化が根付く大阪らしい特徴ですよね。NAIKA MCは「滑るか乗るかしかない」と言っていました。

また、晋平太は大阪の観客について、東京の観客と比べ「二人のやりとりを最初から最後まで一本に繋げて評価する傾向が高い」というようなことを言っていました。一つ一つのバースではなく、二人の掛け合いの中から生まれてくる言葉が重要視されるということですね。

大阪予選と東京予選、どちらが良いかは観る人それぞれの好みでしょう。私は純粋にどちらもエリアの特徴がでてて面白いなと感じました。UMB2014本戦の結果だけをみると、東京編で勝ち上がったNAIKA MCとMCニガリは序盤で負けてしまったのに対し、大阪編の二人は、ふぁんくはベスト4、R-指定は優勝とどちらも好成績を残しました。ただし、それはエリアのレベルというよりも個人の実力に依るところが大きいように感じるので一概には言えないと思います。

とはいえ結果として本戦優勝者と全国ベスト4を選出した「大阪予選」、「REVENGE WEST」。それらの予選から、ここでは個人的に印象に残った2つの試合をご紹介します。

【大阪予選:R-指定 vs KZ】
RKZ

“当たり前やろKZ心配すんなお前の分もドイケンの分もKBDの分も
一回戦で負けたふぁんくの分も梅田サイファー全員背負って東京殺すぞ”


この試合、東京編・大阪編どちらにおいても圧倒的な攻撃力を誇り、相手の痛いところを効果的に攻め勝ち上がっていた<KZ>が、これまでとは全く異なるボロボロの姿を見せます。2度の小節間違え、バトル途中でのスタミナ切れの告白、負けを認め相手を称える発言など、あの嫌味なまでにバトル巧者である彼からは想像できない姿を露呈するのです。

その原因は、対戦相手であり梅田サイファーの仲間であるR-指定に対するリスペクトと愛情があまりに大きすぎたからでしょう。相手への敬意に対し、最大の力で応戦しようと力んだことが、想定外な空回りを生み出したのだと想像します。あの実力者のKZがそうなのですから、本当にバトルは何があるかわかりませんね。

しかし、R-指定は、そのKZの熱すぎる想いを全て汲み取り、勝敗が既に決まってしまった試合にも関わらず、全く手を緩めずに、全力でバトルを続けるのです。決してこの試合を泥試合なんて言わせない。愛するKZへの敬意を示すため、R-指定はこの年すべてのバトルの中でもベストバウトとも言える渾身のラインを吐き出し続けます。このバトルから感じ取れる二人の絆、R-指定の梅田サイファーの仲間に対する熱い想いが、観るものの心を揺さぶります。

この試合は、文字で書き起こしても、いかに言葉で描写しても感動は伝えきれることはできないでしょう。是非、映像でみて二人の熱い想いを感じてもらいたいバトルです。

【REVENGE WEST:ふぁんく vs 早雲】
ふぁんく早雲

“こっからはどっちのフィールドで勝負できるか
お客さんどっちについていく気があるんだ?”


全く正反対なスタイルで戦う二人の噛み合っていない感が抜群に面白い決勝戦です。どちらも基礎スキルが高い二人ですが、ユーモア戦法を続ける<ふぁんく>と、バチバチの試合を望む<早雲>、どちらも決して一歩も引かずに、自身のスタイルを貫き通す為、バトルは再々延長にまでもつれ込むことになります。

UMB2014の本戦でも人気の高いバトル【ふぁんくvsMC松島】に登場するフレーズ「ワンハネハネ ふぁい!ふぁい!」は、実はこの試合でも登場してきます(元はJAZEE MINORの楽曲 "100" feat. AKLOのサンプリング)。本戦では突拍子もなく登場したようにみえていましたが、このREVENGE WESTからずっと使ってきたものだったのですね。このDVDを観て初めて知りました。

この試合は両者の実力は拮抗しながらも、会場の空気は終始ふぁんくの色に染まっているように見受けられました。この試合を観ていて、別の大会ですが鎖UMB大阪予選Bの【P-PONG vs KBD】の試合を現場で見た時のことを思い出しました。大阪の会場では、このふぁんくや、その時のP-PONGのように覚醒したお笑いモードにMCが入ると、会場全体がその空気感になり、その雰囲気を変えるのは至難の業になります。そのMCが次にどんな面白いことを言うのか、その人の次のバースを心待ちにしてしまう空気が場を包むのです。早雲も相当やりづらかったのではと想像します。

それにしても、その空気の中最後まで自身のスタイルを曲げなかった早雲はカッコイイですね。特に延長1回めの<EMINEM>の名曲【Lose Yourself】のシリアスなトラックに乗った早雲は抜群にクールでした。この試合ではふぁんくのパワーの前に惜しくも敗れてしまいましたが、今年は京都代表として本戦にも出場するので大注目したいと思います。

とにかく観ていて面白い試合です。【MC松島 vs ふぁんく】が好きな人は是非一度は見てみて欲しい一戦です。

最後に

さて、今回はUMB最新DVDについてご紹介しました。今回のDVDはどちらかというとバトルマニア向けで、最初に買うMCバトルのDVDとしては向かないかもしれません。ただその反面、バトルファンなら非常に楽しめる内容でしょう。なにより、あのUMB2014における主役達のバトルがもう一度見られるので、UMB2014のMCたちが好きな人は買って損はないと思います。興味がある方は是非チェックしてみてください。

【DVD trailer】


では、今回はこのへんで。

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4 Comments

-  

UMB2015東京予選もDVD化してほしいですね!

2015/10/26 (Mon) 07:07 | EDIT | REPLY |   

Pto6  

Re: タイトルなし

> UMB2015東京予選もDVD化してほしいですね!

コメントありがとうございます!
そうですね。今年もレベル高くて盛り上がってましたしね!
DVDになったら嬉しいですね^^

2015/10/26 (Mon) 19:46 | EDIT | REPLY |   

-  

度々コメントをしている者です。
これらの予選のベスト8以上はUMBのアプリで無料で観れますよ。

2015/10/28 (Wed) 13:16 | EDIT | REPLY |   

Pto6  

Re: タイトルなし

> 度々コメントをしている者です。
> これらの予選のベスト8以上はUMBのアプリで無料で観れますよ。

コメントありがとうございます。
確かに、このDVDを買うくらいのバトル好きの人ならUMBのアプリくらいもってそうですね。

2015/10/28 (Wed) 19:51 | EDIT | REPLY |   

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